カーバメート化合物の農薬への応用 : 第4報 ブチルおよびアミル置換フェニルカーバメートのウンカ・ヨコバイ類に対する殺虫力および殺虫特性の検討
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概要
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1. ブチルおよびアミル置換フェニルカーバメート13種のヒメトビウンカ,ツマグロヨコバイ,アズキゾウムシに対する殺虫力をドライフィルム法により検定し,また,イエバエの頭部コリンエステラーゼ阻害力を測定した結果,2-セコンダリーブチルフェニル,N-メチルカーバメート(BPMC),3-ターシャリーブチルフェニルN-メチルカーバメート(TBPMC), 3-ターシャリーアミルフェニルN-メチルカーバメート(TAPMC)の3種の殺虫力が大であることがわかった。2. ヒメトビウンカ,ツマグロヨコバイに対する殺虫力をドライフィルム法および局所施用法により検定した結果,BPMC, TBPMC, TAPMCの殺虫力はいずれの方法においても対照のカーバメート系殺虫剤と同等かややすぐれていた。3. ヒメトビウンカに対するガスによる殺虫力試験の結果,NACはほとんどガスによる殺虫力が認められず,また,TBPMCのガスによる殺虫力が他の薬剤より劣ったが,その他のカーバメート化合物でガスによる殺虫力が認められた。4. BPMC, TBPMC, TAPMCについて温室内でウンカ・ヨコバイ類に対する散布試験を行なった結果,BPMCは残効が小であったが,TBPMC, TAPMCは対照薬剤よりもすぐれた残効を示した。また,ヒメトビウンカ,ツマグロヨコバイ,トビイロウンカ,セジロウンカの4種の中ではセジロウンカの薬剤感受性が最も小であった。5. 殺虫速度について,BPMC, TBPMC, TAPMC,ともヒメトビウンカに対しては対照薬剤と同程度のKT50値を示したが,ツマグロヨコバイについては対照薬剤よりも遅効性の傾向を示した。6. 低温における殺虫力の低下はツマグロヨコバイに対してはBPMC, TBPMC, TAPMCとも小であったが,ヒメトビウンカに対してはTBPMC, TAPMCはNACと同程度であった。7. 葉面散布によるポット試験ではTBPMC, TAPMCは残効が大であったが,BPMCは劣った。水面施用ではいずれも効力の現われるのがおそかった。TBPMC, TAPMCのヒメトビウンカに対する残効は対照薬剤と同程度であったが,ツマグロヨコバイに対する残効は対照薬剤より劣った。BPMCの残効はNACより大であったが,PHC, MIPCより劣った。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1970-12-25
著者
-
風野 光
農林省農業技術研究所
-
浅川 勝
農林省農業技術研究所
-
福永 一夫
農林省農業技術研究所
-
浅川 勝
農技研
-
風野 光
農技研
-
黒須 泰久
農林省農業技術研究所
-
黒須 泰久
農林省農業技術研究所 : 保土谷化学工業株式会社
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