嗅細胞のニオイ応答 : 嗅神経小束法による記録
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概要
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ニオイの受容器は鼻腔内嗅粘膜にある嗅細胞で、この細胞は一次感覚神経としてその樹状突起を粘膜内に出しその先端に数本の繊毛を持っている。一方、軸索は無髄の神経でシナプスを介すること無く嗅球の糸球体までのび、そこで僧帽細胞の樹状突起とシナプスを複雑に構成する。僧帽細胞の軸索は嗅索として視床を経由せずに大脳皮質嗅覚野へ行く。この嗅覚系の構成は多くの動物でほとんど同じである。このような単純な構造で何十万種類もあると考えられているニオイを受容して識別することになる。現在では単一嗅細胞を分離し、その生理学的性質も研究されているが、微小電極法による細胞内記録や細胞外記録による単一ユニットインパルスおよび遅電位(EOG : Electroolfactogram)の記録も行われてきた。一方、嗅神経小束(olfactory nerve twig)による嗅細胞群のニオイ応答記録法もある。この方法は1950年代後半にアメリカ合衆国フロリダ州立大学のDr.Don Tuckerによって開発され、比較的安定して嗅細胞群のニオイ応答を調べることができる。しかし、彼は趣味の狩猟に行った1979年1月20日より行方不明(1982年2月1日に遺体が見つかる)となり、それ以後この方法による研究は筆者の研究報告以外無い。ここでは嗅神経小束法とこの方法による各種動物のニオイ応答の実際について述べる。
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