コンピュータ利用授業によるベクトル概念形成におよぼす効果に関する研究 (教材開発・学習指導)
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概要
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本研究の目的は、高校生のベクトル概念の獲得に役立つ新しいコンピュータ表現の方法を開発し、生徒にコンピュータを操作させてベクトル概念を獲得させるための指導プログラムを設計することと、コンピュータ利用教育の効果を査定する新たな評価方法を開発することである。ベクトルという概念は、現在高校2年代数幾何の授業で教えることになっているが、それは大きさと向きを合せ持った、生徒にとってはまったく新しい概念であり、多くの生徒がその獲得に困難を感じていることが日常観察される。 われわれはこれまで数学教育におけるコンピュータ利用教育の可能性を探究し、コンピュータ支援授業が2次関数の概念形成に顕著な効果を示すことを明らかにして教育情報学会に発表した(白石・武藤・吉田・中野,1989)。また他の実践でもコンピュータ利用教育によって高校数学のさまざまな分野で定性的理解を促進することが確かめられている(河合塾,1989)。しかしただコンピュータを使えば効果があがるというわけではなく、Davis (1979)の言うように、生徒によるコンピュータ操作が生徒の認知パターンの形成に確実に役立つようにプログラムを設計することが重要なのだと考えられる。従って本研究では、ベクトル概念を理解するために必要な認知的スキルとそれを形成するためのストラテジィとを解明することに焦点を絞る予定である。 コンピュータ利用教育は、新指導要領でも大いに奨励されているが、実際の授業場面で緻密で科学的な実践を積み重ねていくようにしなければ、教育現場で役立つ教育方法の改善を期待することはできない。本研究はこのような問題意識に立って高校2年の数学の授業場面を舞台に選び、ベクトル概念を理解させるための効果的なコンピュータ支援授業計画とその効果の査定方法とを探究しようとするものである。
- 日本教育情報学会の論文
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