伐採跡地における落下種子の種組成
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概要
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落葉広葉樹林伐採跡地の更新初期段階における組成的な変化のメカニズムを明らかにするために,伐採跡地に隣接する成熟林,成熟林の林縁,そして伐採跡地内にシードトラップを設置して,1990年から1994年まで落下種子の種組成を調査した。伐採跡地では林縁からの距離(5m,10m,20m,30m,40m)や植生構造(残存木の樹冠下以外の部分,以下オープン,と樹冠下)を考慮してシードトラップを設置した。調査期間中に,未同定の3樹種を含む25樹種の種子が伐採跡地に落下し,その落下数は3804.1個/0.5m^2であった。ヒノキ,ウダイカンバ,ミズメ,アカシデの落下数が多く,これらを含めた風散布型種子が落下種子数の80.2%を占めていた。ミズメ,ウダイカンバなどの風散布型種子は林縁からの距離が増加すると落下種子数が単調に減少していたが,林縁から40m離れた地点でも種子が落下していることが明らかになった。重力散布型種子(ミズナラ,イヌブナ)は総落下種子数の99.7%が成熟林内と林縁に落下していた。伐採跡地内の残存木の樹冠下には,アオハダ,ミズキ,ハリギリ,タラノキなどの鳥散布型種子が落下していた。これらの樹種の種子はオープンでは落下していなかったことから,鳥が残存木を止まり木として利用した際に糞とともに落下した種子であると考えられた。したがって,伐採跡地における落下種子の種組成は林縁からの距離と植生構造に影響されることが示唆された。
- 1994-12-28
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