御岳山継子岳北斜面にある亜高山帯におけるリターフォールと分解過程(III) : 常緑針葉樹天然林におけるリターフォールの年変動
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
御岳山継子岳北斜面に生育するシラベ・アオモリトドマツ・トウヒ・ダケカンバなどの混交する天然林において,1980年9月から'84年7月までリターフォールの測定をした。この結果をリターフォールの林内分布と年変動として論じた。リターフォールの林内分布には集中性のあることを確認した。捕捉量の多いトラップ集団と少ない集団とがあり,捕捉量の多い所には小径木が多く,少ない所には小径木が少なかった。これら2つのトラップ集団の大きさとパターンは,年次ごとに変化がみられた。リターフォールの季節変動の基本的な型は,冬期の降雪状態に強く影響される落技量,落皮量の年変動を考慮し,開芽期である4月下旬から6月上旬と落葉期である9月中旬から11月とにピークをもつ2ピーク型であると考察した。秋期のリターフォールの年間リターフォールに占める割合は,60〜67%であった。この期間の針葉・広葉の落下量の年間落下量に対する割合は,'81年55と80,'82年64と95,'83年87と94%であった。小枝及び樹皮の落下量は,冬期(積雪期)に多い。冬期の落下量の年間落下量に対する割合は,'80〜'81年に74と54, '81〜'82年に14と17,'82〜'83年51と51%('83〜'84年0.81と0.15ton/ha:年間落下量は測定中)であり,他のリターと異なり,季節的には冬期に多く,年変動としては,冬期の降雪量と雪質の影響を受けて増減する。
- 岐阜大学の論文
- 1984-12-15
著者
-
安藤 辰夫
岐阜大学農学部
-
中島 仁蔵
岐阜大学農学部附属山地開発研究施設
-
安藤 辰夫
岐阜大学農学部山地開発研究施設
-
中島 仁藏
岐阜大学農学部山地開発研究施設
-
中島 仁藏
岐阜大 農
-
シマランキル B.
岐阜大学農学部山地開発研究施設
-
兼氏 政治
岐阜大学農学部山地開発研究施設
-
後藤 展哉
岐阜大学農学部山地開発研究施設
関連論文
- 養老山系の植物 (1)山頂の植物 : 岐阜県および近県の植物に関する研究 III
- 飛騨地方の雑木林研究(I) : カンバ林の概況とアルミバンドタイプのデンドロメータの特性について
- 高い盛土法面緑化における植生推移 : 緑化後7年の植生
- シバ(Zoysic japonica Steud.)の種子繁殖形質に関する種生態学的研究 : (2)種子生産性
- シバ(Zoysia japonica Steud.)の種子繁殖形質に関する種生態学的研究 : (1)材料についての概説と季節消長
- チガヤ種内2型の比較生態 : (3)実生3年目群落の年生活環
- シバの種子繁殖関連形質についての種内変異に関する研究 : (2)原産地を異にする保存栄養系統からの種子の発芽性
- シバの種子繁殖関連形質についての種内変異に関する研究--原産地を異にする保存系統からの種子の外形と稔性
- 有用野草の播種増殖に関する基礎的研究-8-クマイザサの種子繁殖に関連した2・3の観察
- 有用野草の播種増殖に関する基礎的研究-7-ススキ及びカリヤスの播種に関する圃場試験及び播種利用の1・2の事例
- 4.有用野草の播種増殖に関する基礎的研究 : (2)ノシバ種子の暗所発芽促進法(草類の生理・生態・栽培,第20回発表会講演要旨)
- 御岳山・亜高山帯天然林の動態-2-上層木の枯死状況
- 御岳山継子岳北斜面にある亜高山帯におけるリターフォールと分解過程(III) : 常緑針葉樹天然林におけるリターフォールの年変動
- 植物遺体の分解と微小真菌群III : トウヒの葉の分解に伴う微小真菌の推移
- 植物遺体の分解と微小真菌群II : 御岳山塊・継子岳にある亜高山帯常緑針葉樹林におけるトウヒの葉の重量減少と微小真菌群集の動態
- 植物遺体の分解と微小真菌群-1-ススキとクマザサの遺体の分解とそれにともなう微小真菌群の変動
- 森林生態系の種類と土壌糸状菌群の分布との関係について-1-岐阜県にある6個の森林の土壌糸状菌群について