植物遺体の分解と微小真菌群III : トウヒの葉の分解に伴う微小真菌の推移
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
岐阜県大野郡朝日村地内の標高1880mに生育する亜高山帯常緑針葉樹林内において,リター・ケイジを用いて,トウヒの葉の分解実験を実施している。前報において,葉の重量減少と微小真菌群集(以下微小真菌を真菌とする)の総菌数及び種類数の変動について報告した。本論文はトウヒの葉の重量減少に伴う真菌類の推移について検討した。その結果,得られた85種類の真菌を,つぎに示す11群の真菌群に区分した。第1群:重量減少率35〜40%までに出現し,以後出現しなかった真菌群 第2群:35〜40%まで出現頻度が高く,以後徐々に出現頻度示威少した真菌群 第3群:分解初期から分解終期まで出現頻度が高かった真菌群 第4群:5〜10%から出現し,20〜50%に頻度が高く,以後徐々に減少し,70%をすぎて出現しなかった 真菌群 第5群:5〜10%から85〜90%まで出現するが,出現頻度が低かった真菌群 第6群:5〜10%から35%まで出現頻度が増加し,65%以後減少した真菌群 第7群:25〜30%から出現し,45〜55%で出現頻度が高く,以後徐々に減少した真菌群 第8群:25〜30%から出現し,以後出現頻度が高かった真菌群 第9群:30〜45%から出現し,45〜65%に出現頻度が高かった真菌群 第10群:30〜45%から出現するが,45〜55%以後に出現頻度が高かった真菌群 第11群:55〜60%から出現し,65〜70%以後に出現頻度が高かった真菌群 これら真菌群と森林土壌のL,F,H及びA_1層の真菌群集とを対比した結果,トウヒの葉の重量減少に伴う真菌群集の変動と森林の土壌断面に沿う真菌群集の変動との間に,かなり共通した変動があることを認めた。
- 岐阜大学の論文
- 1987-01-10
著者
関連論文
- 養老山系の植物 (1)山頂の植物 : 岐阜県および近県の植物に関する研究 III
- 御岳山・亜高山帯天然林の動態-2-上層木の枯死状況
- 御岳山継子岳北斜面にある亜高山帯におけるリターフォールと分解過程(III) : 常緑針葉樹天然林におけるリターフォールの年変動
- 植物遺体の分解と微小真菌群III : トウヒの葉の分解に伴う微小真菌の推移
- 植物遺体の分解と微小真菌群II : 御岳山塊・継子岳にある亜高山帯常緑針葉樹林におけるトウヒの葉の重量減少と微小真菌群集の動態
- 植物遺体の分解と微小真菌群-1-ススキとクマザサの遺体の分解とそれにともなう微小真菌群の変動
- 森林生態系の種類と土壌糸状菌群の分布との関係について-1-岐阜県にある6個の森林の土壌糸状菌群について