近代・開発の言説支配と対抗的社会運動
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概要
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近代化は、先進国では内生的発展、第三世界においては外生的開発の過程として認識されているが、資本主義的生産システムがグローバル化を進めてきた歴史過程においては、発展も開発も相互に連関した同じシステム社会の地域的不均等発展の現象である。後期資本主義社会の正当性を保証する経済成長による豊かな生活という言説、その政治形態であるリベラリズムは、第三世界を発展途上国と位置づけ、貧しさを主体化させる。しかしながら、後期資本主義社会に発生した新しい社会運動は、このような社会的コード支配に対して、どのような抵抗運動が可能であるのかを示唆している。抑圧的なコードと個人の身体的感情の葛藤の中で自己のアイデンティティを形成していくというやり方は、社会集団の規模で見れば、宗教の復興現象として現れている。第三世界では、開発という社会的コードによる二重の文化支配を抜け出すために、まず、自分たちの共同性を伝統文化・民族・宗教といったシンボルによって作りだすところから始めている。<BR>本稿は、タイ社会における都市型新宗教と仏教伝統による開発実践を、文化支配とアイデンティティ創出の抵抗運動という後期資本主義社会の問題に関連させて理解し、なお、上座部仏教伝統の発展形態の一つとして内在的理解を進めていく。
著者
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- H.「カルト」調査研究の課題(II.午後4報告と討論,新・宗教研究の課題と展望,ワークショップ(3),2001年度ワークショップ記録)
- 大谷栄一・川又俊則・菊池裕生編著, 『構築される信念-宗教社会学のアクチュアリティ-を求めて』, ハーベスト社, 2000年10月刊, A5版, 185頁, 2600円+税
- 書評と紹介 林行夫著『ラオ人社会の宗教と文化変容--東北タイの地域・宗教社会誌』
- 東北タイ地域開発における開発NGOの課題--市民社会論との関わりで
- 在日タイ日系鉛筆製造企業における労働者のアイデンティティ形成と生活構造
- 新宗教教団の形成と地域社会との葛藤
- 松崎憲三編『東アジアの死霊結婚』
- 宗教実践の構成と社会変容 : タイ東北部農村社会における宗教伝統を事例に
- 浅野慎一著『世界変動と出稼・移民労働の社会理論』
- 板井正斉著, 『ささえあいの神道文化』, 弘文堂, 2011年6月刊, A5判, 235頁, 4,200円(書評とリプライ)
- 井上ウイマラ・葛西賢太・加藤博己編, 『仏教心理学キーワード事典』, 春秋社, 2012年5月刊, A5判, 378頁, 3,990円
- コメント1 宗教社会学から(社会参加を志向する宗教の比較研究-エンゲイジド・ブッディズム(社会参加仏教)を考える-,テーマセッション1,「宗教と社会」学会・創立20周年記念企画,2012年度学術大会・テーマセッション記録)
- 金子曉嗣監修, 松島公望・河野由美・杉山幸子・西脇良編, 『宗教心理学概論』, ナカニシヤ出版, 2011年11月刊, A5判, 248頁, 3,570円