社会的ジレンマ・モデルの一般化 : 海野類型の拡張から
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概要
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社会的ジレンマの数理モデルは数多く開発されているが、それらの間の関係は必ずしも明確ではない。本稿は海野による類型化を拡張しながら、その問題にアプローチする。海野が用いた類型軸は、資源単位の有無、保存と供給、確率論的モデルと決定論的モデルの3つである。われわれはまず、資源単位に代えて「単位作用」という概念を提唱する。これは便益や損失の共通単位を資源から作用に一般化したもので、そこからいくつかの単位作用条件が設定される。また確率論的―決定論的の軸は、臨界点(供給点)の設定の仕方が確率的か確定的か、という軸に修正される。この2つの修正軸に保存と供給の違いを加えることによって、12通りの類型が導き出される。われわれはそのうちの8つの類型に対して、従来の諸モデルを統一的に関係づけうるような一般モデルを提唱する。その過程で、海野類型において資源単位のある保存モデルとして提唱された「海野の共有地のジレンマモデル」と「Hamburgerの収奪ゲーム」の定式化に誤りがあること、また新しい類型の中に社会的ジレンマに対する制御を前提にしたモデルが現れること、等が明らかにされる。
著者
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