<原著論文>10MVX線におけるウエッジ係数の長方形照射野依存性の解析

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放射線治療においてX線線量分布の改善を目的としてウエッジフィルタが多用される。ウエッジフィルタのX線透過率を表すウエッジ係数は, 照射野サイズと深さに依存して変化することが知られている。ウエッジ係数のこれらの依存性とその原因は, 放射線発生装置とX線エネルギーによっても変化する。しかし, 便宜的に, ウエッジフィルタを使用しないときのビームデータと単一のウエッジ係数をもとにした線量計算がしばしば行われる。それによって投与線量に数%の誤差を生じうることが指摘されている。本研究では, 本学のライナックの10 MVX 線について, 3種のウエッジフィルタを使用したときの, それぞれのウエッジ係数を測定によって求め, 長方形照射野の大きさによってそれらがどう変化するか調べた。また, ウエッジフィルタ使用時と不使用時のコリメータ散乱係数とファントム散乱係数の変化の様子を解析することにより, ウエッジ係数の照射野サイズ依存性の原因を検討した。使用したライナックX線について, 単一のウエッジ係数を用いた場合, 長方形照射野のウエッジ係数表を使用したときに比べて, 最大2%の線量誤差を生じうるが, 15cm×15cm 以下の照射野については最大L3%の線量誤差に収まる。ウエッジ係数の照射野依存性は, X線束中に置かれたウエッジフィルタから発生する散乱X線がコリメータ散乱に加わり, その量が照射野サイズとともに増加することにより生ずる。
茨城県立医療大学の論文

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