<原著論文>哲学者と阿片 : ド・クインシー,『阿片常習者の告白』(1821)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
In Confessions of an English Opium-Eater (1821), by telling chronologically the story of his own life, Thomas De Quincey tries to set himself up to be a "philosopher" to the readers for whom opium consumption is nothing but a bad habit. This is one of the two arguments articulated in this work. De Quincey also attempts to correct the general misperception of opium, especially its effects upon one's mental and physical states. However, the textual analysis shows that he fails to construct such an identity of intelligence, because the section which discusses the truth about opium linguistically deprives the autobiographical narrative of its authenticity, and eventually creates the critical distance which separates the author from his desired figure in the text. And his intention, thus thwarted, is very interesting, because it can be interpreted not only as one of the leading features characterizing the theme of the Confessions, but also as the perpetual symptom of the entire life of De Quincey himself where a clear image of his identity can hardly be discerned.
- 群馬大学の論文
- 2000-03-31
著者
関連論文
- ヴィクターの諸変奏 : メアリー・シェリー、『フランケンシュタイン』(1818)と自伝の反復
- 弱き語り : メアリー・シェリー、『フランケンシュタイン』(1818)、あるいは自伝の歴史性
- 統御と偶然のシネマトグラフ : スタンリー・キューブリックのインタヴューを読む
- 盲目のビル : スタンリー・キューブリック、『アイズ ワイド シャット』 (1999)における音の策略
- 娘の死 : メアリ・ウルストンクラフト、『女性の虐待、あるいはマライア』(1798)における自伝とゴシック
- 奪われるジェイムズ・ホッグ : 『著者の人生の回想録』における書記行為
- 光の暗黒面 : 『ウルトラマンティガ』(1996-97)と情報社会(日本における情報と「怖れ」,平成14年度 社会情報学部総合学科型プロジェクト研究報告)
- ゴシックの侵略 : 擬似ロマン主義的自伝としての、ジェームズ・ホッグ、『義とせられたる罪びとの私的な回想と告白』(1824)
- コールリッジの語ったこと : 『文学評伝』(1817)
- 二様の自己 : コールリッジにおける自伝精神
- グラスミアの位置と意味 : ド・クインシー,『阿片常用者の告白』(1821)におけるワーズワースと阿片
- 作家であること,阿片常用者であること : 『阿片常用者の告白』の歴史と文学的環境(II)
- 阿片常用者であること,雑誌寄稿者であること : 『阿片常用者の告白』の歴史と文学的環境(I)
- 湖水地方のなかの自己 : ワーズワス『湖水地方案内』(1835)とネイチャーライティング
- 哲学者と阿片 : ド・クインシー,『阿片常習者の告白』(1821)
- 動きのなかのワーズワス : 『湖水地方案内』(1835),ピクチュアレスク,そしてガイドブックの伝統
- 理論,というより方法論,あるいは「思想」の弁護(第2回社会情報学シンポジウム「社会情報学を諸学はどう捉えるか」)(特集)
- 『詩集』,『序曲』,そして自己 : ワーズワスにおける一詩的行為
- 内なる失楽園 : 『序曲』(1805)第一巻における叙事詩とワーズワス
- 置換される『隠遁者』 : 『序曲』(1805)の始まり