<原著論文>SSTを加味した構成法の実践的模索 : 更正保護施設での実践事例にみる一考察
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概要
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本論の主たる目的は次の3つである。第1に, SSTを加味した構成法の実践プログラムの設計事例とエクササイズ(Ex.)の概要を明示する。第2に, SSTを加味した構成法の実践は更生保護施設の在会者にどのような影響を及ぼすかを検討する。第3に, 実践結果をふまえて, 効果的な支援プログラムにはどのようなものが考えられるかを検討する。 2000年9月∿2001年6月にかけてK県市のK更生保護施設において15回実施したSSTを加味した構成法について取り上げる。各回の参加者は2∿6名である。プログラム構成は, 前半に基本的な対人スキルの練習をねらうEx.を, 中盤に自立して生活していく上で必要となる知識の学習とより高度のスキル練習をねらうEx.を, 後半に認知レベルで獲得したスキルをより内面に根付かせるような感情レベルに接近したEx.を配置するように構成した。 アセスメントは, 参加者の感想, 意見, 行動観察記録を中心に行った。また, 一部のEx.でKiss-18(得点が高まるほど社会的スキルが高いことを示す。1因子18項目5件法。得点範囲は18〜90)と自尊感情尺度(得点が高いほど自尊感情が高いことを示す。1因子10項目5件法。得点範囲は10∿50)を用いた。本論では実践したEx.の中から5つ選択しそれらについて検討する。 結果は次の通りである。Kiss-18,自尊感情尺度ともに有意な得点の変化はみられなかったが, メンバーから「気持ちが落ち着いた」「人は悩みながら, 苦しみながら進歩していくと思った」「自分の捉え方が変えられて, いろいろな見方ができた」「自信がついた」などの感想が聞かれ, スキル学習やふれあいの体験の中で自己肯定感や自己効力感を高めていることがうかがえる。 結果を支える促進要因には, Ex.の構成要素に感情の重視, ウォームアップとフィードバックの導入, 自分自身への取り組みなどを加えたことが挙げられる。 支援効果を高めるためには, 在会者参加型の展開や在会者の動機や状況に合わせたショート・プログラムの展開などが求められる。
- 2002-03-30
著者
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