<原著論文>参画型グループ・エンカウンターの重層的参加体験にみる自己変容の効果
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概要
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本研究の主ため目的は, 参画型グループ・エンカウンター(参画型GE)が自己変容をどのように促進するかを検討することである。参画型グループ・エンカウンターとは, 参加者(学生)が, 設計者, リーダー, メンバー, 分析者という4者を体験し, 主体的に関与する重層的参画構造をもつ構成法である。1996年と1999年に実施した参画型GEの合宿を取り上げて分析する。対象は, 大学3年生男性3名, 女性24名, 筆者の計28名である。大学教員がスーパーバイザーとして連れ添った。測定尺度は自己概念尺度(簡易版 slfe-Image Inventory : SII)を使用した。4因子, 18項目, 5件法である。得点が高いほど, 自己肯定感が高いことを示す。逐語分析にはオリエンテーション, 筆者が設計したエクササイズの実践場面及び各エクササイズのシェアリング(ふりかえり討議), 合宿最終日のシェアリングの内容を主に活用した。結果は次の通りである。(1)SII得点は, エンカウンター体験の初日と最終日では最終日に有意に得点を高めていた。(2)SII得点は, 筆者がリーダーを務めたEx.の直前, 直後では直後に有意に得点を高めていた。(3)強靭性の平均得点は最も低いが, エンカウンター体験後の得点の上昇率は最も高かった。(4)効果の持続性は, 初日と3ヶ月後では3ヶ月後に有意な得点の高まりが見られた。(5)相互的自己開示による自己直面の促進や自己洞察の深化, 普遍化による自己肯定化の様子などが見られた。 以上の結果から, 参画型GEの参加者は, 自己を肯定的にとらえ, 自信を得ることが出来ている。自己肯定の促進要因として, 参加者主体で取り組み成果を実感したこと, エクササイズの配置を自己理解, 自己覚知を促すように有機的に配列したこと, ゲシュタルト療法や絵画療法の要素をエクササイズに盛り込み自己直面へのストレスを緩和したこと, などが挙げられる。
- 東海大学の論文
- 2001-03-30
著者
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