弥生土器・古式土師器のAMS<14>^C年代
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概要
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我々は, 縄文土器・弥生土器のAMS^<14>C年代とその較正年代を明らかにすることを目的として, これまで型式の明確な縄文・弥生土器に付着している炭化物の^<14>C年代測定を行ってきた(山本, 1997;山本, 1998;山本, 1999;山本・小田, 2000a;山本・小田, 2000b;小田・山本, 2001;山本・小田, 2001).今年度も本研究を継続し, 新たに縄文土器9点(石川県御経塚遺跡6点, 長野県氷遺跡3点), 弥生土器5点(群馬県中野谷原遺跡2点, 愛知県釈迦山遺跡3点), 古式土師器11点(愛知県中狭間遺跡11)に付着していた炭化物のAMS^<14>C年代と較正年代を求めた.本稿は, これらのうち弥生土器と古式土師器について得られた結果を報告するものである.なお, 縄文土器の測定結果については別稿にて報ずる(山本・小田, 2002).表1に測定資料の一覧を示した.ステンレス製スパーテルを用いて土器表面から数十mgの付着炭化物を採取した.各試料について以下の化学処理を行い, ^<14>C年代測定用のグラファイトを調製した.まず試料に含まれる不純物を除去すべく, 塩酸・水酸化ナトリウムによる交互洗浄を行った.蒸留水により洗浄した後, 乾燥させ, 炭素にして1〜4mgに相当する試料を600〜700mgのCuOとともにVycor管に真空封入した.このVycor管を850℃で2時間加熱することで, 試料をCO_2に変換した.このCO_2を真空ライン中で精製した後, H_2(CO_2の約2当量), Fe粉末(約1.5mg)とともに再度Vycor管に封入し, 650℃で6時間以上加熱することでグラファイトを合成した.このように調製したグラファイトをターゲットとして, 名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計2号機によって^<14>C年代測定を行った.測定結果は表2に示したとおりである.測定は同一のグラファイトターゲットについて三回ずつ行った.NYH4以外の資料については2個のグラファイトターゲットを調製し, 計六回の再測定を行い^<14>C年代を求めた.測定された^<14>C年代はINTCAL98の較正曲線(Stuiver et al., 1998)に従って暦年代に換算した.
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