西アフリカ史のなかのメマ : ガーナ王国とマリ帝国を支えた経済活動
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概要
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メマは, 旧ガーナ王国の首都とされるクンビ・サレーと, ニジェール川中流域のあいだにはさまれた乾燥した地域である。現在では農業が困難な土地だが, 過去にはニジェール川の支流が流れていたこともあり, 150を超える遺跡が現存するほど人口の稠密な土地であった。本研究は, 私たちが1998年以来おこなってきた考古学調査の最初の成果のひとつであり, メマにおける農業の起源と製鉄等の産業の興隆が, 西アフリカの歴史的発展にいかなる寄与をはたしたかを明らかにするものである。コリマ遺跡群での私たちの発掘が明らかにしたことは, BC 850年ごろにはじまる新石器後期の遺跡から大量のフォニオが出土したこと, しかも小型牛の供犠の横に供物として捧げられていたことである。フォニオは西アフリカ原産の穀物であり, この時代にフォニオの栽培化が開始されていたとする私たちの解釈が正しいとすれば, これまでに西アフリカのサバンナでみつかった栽培作物のうち3番目に古い数字である。また, メマ全体に製鉄遺構が存在し, 工業的と呼べるほどの規模にまで達していたことも確認された。メマにおけるフォニオの栽培と牛および羊/山羊の牧畜, それに大量の鉄の製造は, 西アフリカ史上最古の王国のひとつであるガーナ王国の成立を準備した。それにとどまらず, それは西アフリカ史上もっとも著名なマリ帝国の成立にも大きく寄与したのである。
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