服飾造形における技術的研究(第1報)-フォーマルドレスの製作-
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概要
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本研究の材料は通常の一反を使用した羽織である。これを残らず使用してフォーマル・ドレスを製作した訳であるが,反物その物の広さが幅いっぱいに使っても洋服地の半分に過ぎない。その上今回の材料は絞り特有の布幅で通常の並幅より狭い。また一度裁ってあるため反物の長さと幅が名称別に区分され,それぞれ寸法が異なる。そこで材料に合わせてデザインを考え,製図展開をするわずらわしさがあった。また和服は年齢や身長に応じ,あるいは好みや用途などに左右され,着丈や袖丈が短く裁断されていることが多い。使用の羽織も着丈,袖丈共に短い。これらの諸種の理由から,和服を洋服に再生して,身体のフォルムとしての美しさとデザイン,および素材の調和が如何に表現されるかが製作上の難所であった。しかし製作結果から,こうした諸種のことへの対応ができたと思う。和服をリフォームする時の基礎知識として,和服の構成を会得していれば,洋服にリフォームする構想やデザインの案出も比較的容易である。高級感のある和服地を使用して,和服のイメージを捨てた,新鮮味のある洋服に変えられることを理解した。そして素材の有効活用と共に,造形上の技法を研明した。経済性を軸に,機能性,合理性の追求を意図した研究が,今後の着用実験によって実証できると思われる。本研究の製作物は平成8年5月,日本服飾学会において展示発表したものである。
- 1997-03-31
著者
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