<事例研究>登校拒否の予兆研究(その2) : 予兆項目の数量的分析
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概要
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現代の児童・生徒をめぐる社会的問題のひとつに,増加の一途を辿っている登校拒否があり,早急な教育的対処を求められている。登校拒否は,今日までにその分類・特徴・治療など様々な角度からの研究が積み重ねられてきた。石黒^<1)>は,これら従来の研究とは視点を変えて児童が登校拒否を起こすまでに示す行動や認知特徴(予兆)の内容を明らかにしようとした。その手段として,登校拒否傾向を測定するための33の質問項目(予兆項目)を作成し,函館市において1,523名の児童を対象に実態調査を行った。本研究では,上記の調査結果を林の数量化III類という統計分析法を用いて分析することにより,小学生の各学年段階における登校拒否の予兆と思われる行動や認知特徴を明らかにするとともに,重要な項目群を選定することを意図した。さらに児童の発達段階をあわせて考えることにより,登校拒否の要因を各学年段階別に捉えようと考えた。分析の結果,各学年の示す予兆項目群にはそれぞれ差異が認められ,学年段階ごとの予兆の特徴が導き出された。そしてその内容に検討を加えてみると同じ範疇に入る項目群であっても,その項目構成には特徴的な差異がみられ,これは児童の発達段階・認知の違いによるものと推察された。すなわち,一口に予兆といっても学年ごとに特徴があり,それに応じた対応が必要であるという結論に達した。
- 北海道教育大学の論文
- 1989-03-11
著者
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藤川 文子
苫小牧市立緑小学校:北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程第7・8期生(1987・1988年度)
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石黒 一次
函館市立中島小学校,北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程第3期生(1983年度)
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石黒 一次
函館市立西小学校
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中村 貴愛
北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程
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立山 文雄
北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程
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藤川 文子
北海道教育大学情緒障害教育教員養成課程
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