自閉症児教育におけるTEACCHプログラムの検討(その2): 養護学校高等部生徒の一事例を通して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は,1年ほど前から「周囲の者を強く押す」「こだわり行動により移動が著しく停滞する」「壁などの一定の場所を蹴る」「自己刺激行動や奇声が頻発する」などの行動があらわれた音声言語をもたない高等部の男子生徒に対して,TEACCHプログラムを基本に捉え,家族との連携・ニーズの反映,ライフスタイルの重視をしながら,『食事場面におけるコミュニケーションカードを用いた代替コミュニケーションの「形態」の獲得』を指導目標としたサマースクール(夏休み中)の取り組みを中心にした報告である。その結果,食事場面での彼の姿は改善に向かい,携帯用のコミュニケーションカードへの発展もみられた。コミュニケーションカードは家庭でも利用され,家族への使用も確認された。また,4カ月後の現在では,給食場面,および携帯用のコミュニケーションカードともに適切な利用と頻度が観察された。今年度は,学校教育での取り組み1年目であるために,TEACCHプログラムの表出性のコミュニケーションに関する取り組みを中心に行ってきたが,未だに前述した問題となる行動は頻度が高く,解決には至っていない。今後も受容性のコミュニケーションや自立課題など,その他多くのTEACCHプログラムのアイディアを利用しながら,対象児へのサポートに取り組んでいくつもりである。
- 1997-02-07
著者
-
志村 克美
北海道教育大学附属養護学校
-
和倉 歩
北海道教育大学附属養護学校
-
齊藤 宇開
北海道教育大学大学院
-
齊藤 宇開
北海道教育大学函館校
-
志村 克美
北海道教育大学函館校附属養護学校
-
和倉 歩〔他〕
北海道教育大学附属養護学校
関連論文
- 養護学校(知的障害)における自閉症児指導法に関する実践的研究(3) : その2 教室環境の整備と関係者の連携
- 養護学校(知的障害)における自閉症児指導法に関する実践的研究(3) : その1 メッセージメイトを用いた食事場面における要求言語行動の形成
- 養護学校(知的障害)における自閉症児指導法に関する実践研究 (2) : 活動への参加が不安定なH児への取り組みを通して
- 養護学校(知的障害)における自閉症児指導法に関する実践的研究(1) : 学習環境の構造化と保護者との連携
- 障害のある子どもたちのサマースクールに関する実践的研究(その2) : 第2回サマースクール実践報告と若干の考察
- 障害のある子どもたちの「サマースクール」に関する実践的研究(その1) : 開催にいたる経緯と第1回実践報告
- 障害児のための「サマースクール」に関する実践的研究(2) : 実施に至る経緯と実施計画
- 障害児のための「サマースクール」に関する実践的研究(1) : その背景と展望
- 教員養成系大学への地域のニーズとボランティア : 函教大ボランティアネットワーク一年目の取り組み
- 自閉症児へのコミュニケーション支援に関する実践的研究
- 自閉症児教育におけるTEACCHプログラムの検討(その2): 養護学校高等部生徒の一事例を通して
- 養護学校小学部の教室の再構造化に伴う自閉症児の変容 : 活動場所への移動に時間を要する自閉症児への取り組みを通して
- 〈資料1 開発プロジェクト報告〉校内LANによるコンピュータ利用の学習の効率化
- 自閉症児が主体的に活動できる環境設定の在り方
- 養護学校における自閉症児の最適な支援の在り方に関する実践研究
- 養護学校における自閉症児の将来を見据えた支援の在り方に関する実践研究