<原著>正選手と補欠選手の運動部への参加動機と原因帰属様式
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概要
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本研究は正選手と補欠選手の大学運動部への参加動機と, 原因帰属様式の関係を検証することを目的として行われた。体育を専攻し, 大学運動部に所属している3年生の218名が調査の対象となった。運動部への参加動機の質問項目には, 著者(1990)が独自に作成したものが用いられた。また原因帰属様式の測定には, Weiner et al.による原因帰属の4要因の修正版が使用された。主な結果は以下に示すとおりである。1. 因子分析の結果, 大学生の運動部参加の動機が7つのカテゴリーによって説明されることが明らかとなった。これらはそれぞれ, 「達成」動機, 「期待」動機, 「不利益回避」動機, 「健康・体力」動機, 「社会的有用性」動機, 「自由・平等性」動機, 「不安回避」動機と名付けられた。以上の結果は, 著者による前回の調査より得られた結果とほとんどの部分が一致した。これらの動機の中でも, 「達成」動機が最も重要であった。2. 原因帰属様式に関する比較研究は, 正選手と補欠選手に彼らが正選手あるいは補欠選手であった理由を尋ねることにより実施された。原因帰属の4要因毎の比較の結果, 正選手は補欠選手よりも「努力」と「運」により帰属させる一方で, 補欠選手は正選手よりも「課題の困難度」により帰属させることが明らかとなった。次に, 統制の位置次元と安定性次元という原因帰属の2次元からの比較研究が行われた。結果は, 正選手も補欠選手も外的要因よりも内的要因により多くを帰属させること, そして, 安定要因と不安定要因が正選手と補欠選手に逆の影響を及ぽすことを示した。従って補欠選手の場合, 自己中心的な原因帰属パターンは本研究では支持されなかった。3. 最後に, 正選手と補欠選手の参加動機と原因帰属様式の関係が検証された。補欠選手に関して負の有意な相関が, 内的帰属, 不安定帰属と「達成」動磯,「期待」動機間に存在した。このことは, 補欠選手は努力不足ゆえに正選手になれなかったと認識しているにもかかわらず, 彼らが最善をつくす気のないことを意味している。
- 九州大学の論文
- 1991-02-08
著者
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