伊豆半島東岸の溶融体を伴う地殻深部不連続面
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概要
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To determine the scale and depth of a molten material near the volcanic front and at active volcanoes, the reflection phases on microearthquake seismograms have been studied. At the east coast off the Izu peninsula many phenomena, such as earthquake swarms and unusual up rifts of the ground, have occurred. Many interpretations have been presented regarding these phenomena. It became clear that these phenomena were caused by the molten material after the submarine eruption which occurred on 13, July, 1989. In this paper we discuss the location of a molten material beneath the area of earthquake swarms.火山前線付近,または活火山周辺に存在すると考えられる溶融体の深さとその規模を明らかにするために,これらの地域で発生する群発地震の地震波形記録に見られる溶融体からの反射波の解析が試みられてきた.伊豆半島東岸地域では,群発地震が頻発し,異常隆起等の特異な現象が見られており,これまでこれらの現象を説明するために様々な仮設が唱えられてきた.その後, 1989年7月13日に伊東沖で海底火山の噴火が起こったことからマグマが関与している可能性が高いことが示された.この論文ではこの地域において群発地震の震源域直下における溶融体の存在について考察する. 1987年5月, 1988年7~8月, 1989年7月に発生した各々震源域の異なる伊豆半島東方沖の群発地震の地震波形記録において, P波初動の3~4.5秒, 6~7秒後に顕著に後続波が観測された.これらの2つの後続波は走時解析を行った結果,深さ16~20kmに存在する不連続面からのSxP反射波, SxS反射波であることが明らかとなった.これらの反射波の大きな反射係数は発震機構を考慮してもコンラッド面では説明できず,不連続面の下の層のS波速度が0km/sに近い物質,つまり溶融体を伴う不連続面からの反射波である可能性があることがわかった.また,この不連続面の広がりを見るために反射点分布を求めたところ,群発地震の震源域の下に広範囲に存在することがわかった.これらの結果から伊豆半島東岸の群発地震及び噴火現象は,本研究によって求められた溶融体を伴う不連続面から上昇してきたマグマによって引き起こされた群発地震,海底火山噴火である可能性があると考えられる.
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