PS変換波から推定された関東地方下の太平洋プレート上面について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
関東地方においては,これまでに地震波速度構造の不均質性について様々な研究がなされてきた.これらの研究の結果,太平洋プレート,フィリピン海プレートの沈み込みが示された.このように複雑な構造をした地域において,沈み込むプレートの形状を求めることは,大変重要なことである.東京大学地震研究所の日立(HIT)の観測点の地震波記録で,P波とS波の間に立ち上がりのはっきりした後続波が見られた.この研究では,この後続波が,沈み込む太平洋プレート上面でPS変換された波であることを明らかにし,この変換波を用いて沈み込む太平洋プレート上面の深さを求めた.このように変換波を用いる方法は,プレート上面の深さを求めるのに有効であることが知られている.この研究において,関東地方下で求められた太平洋プレート上面は,日立の観測点下で約60kmの深さに求まり,その面は2重深発面の上面にほぼ一致した.また,この深さはS波の反射から求められた結果(小原,1987)と矛盾しない.In the Kanto region, many studies have indicated the large lateral heterogeneity of velocity structure. These results, in this region, show that the Pacific Plate and Philippine Sea Plate thrust beneath the North American Plate. So, it is very important to know the shapes of those subducting plates. The seismograms of microearthquakes recorded by HIT (Hitachi) station show a sharp impulsive phase between direct P and S waves. This phase was identified as PS converted wave at the upper boundary of the subducting parts of the Pacific Plate. The use of these converted phases proved to be a practical and highly promising method for depth determination of the upper plate boundary. In this study, the PS converted waves were used to locate the upper boundary of the subducting parts of the Pacific Plate. The estimated location of the upper boundary, in the Kanto region, is just above the upper seismic plane of the double-planed deep seismic zone, its depth is about 60 km under the HIT station and it is in agreement with that obtained from the reflected S wave (OBARA, 1987).
- 東京大学地震研究所,Earthquake Research Institute, University of Tokyo,地震研究所,国立防災センターの論文
- 1989-06-30
著者
関連論文
- 平成19年(2007年)能登半島地震合同余震観測
- 東海地域における地下深部の反射面 (沈み込み帯の科学と海洋観測技術) -- (1章 沈み込み帯の地球科学(地球物理))
- Depth Phase を使った1990年9月の東海道はるか沖での地震(M6.6)と1991年9月の三宅島近海での地震(M6.3)の深さの推定
- 研究集会「アスペリティのマッピングとモニタリング (EARS : Exploration of Asperities and Reflectors System)」シンポジウム報告
- "不透明"な島弧の最上部マントル (プレート境界型地震監視計画(2))
- プレート境界高間隙水圧帯によって引き起こされる東海スロースリップ--中部日本海陸統合探査の結果 (総特集 プレート境界域の地殻科学)
- 背弧海盆上部マントルの異方性の検出 (総特集 海半球観測研究の進展)
- 北東太平洋地域のCMB直上の地震波速度構造の推定
- 屈折法人工地震探査による九州東部の地殻構造II
- 島弧におけるモホ面近傍の微細構造の研究(その1)
- 3.3.24 内陸地震のテクトニクスに関する研究(3.3 経常研究,3. 研究業務)
- 回折波によるCMB直上の速度構造の推定の試み
- 野島断層解剖計画・1700m孔注水試験に伴う極微小地震活動変化の観測
- Lower Mantle のS波偏向異方性
- 人工地震探査による九州東部の地殻構造 (庄内-串間測線・安心院-田野測線)
- 北部フォッサマグナの深部構造地震探査
- 淡路島直下における1995年兵庫県南部地震の余震分布 -余震分布と活断層との対応-
- 3.3.26 内陸地震のテクトニクスに関する研究(3.3 経常研究,3. 研究業務)
- PV21 "阿蘇 94"広帯域地震計ネットワーク観測
- E24 ASO-94 : 広帯域地震計で診た阿蘇の長周期微動
- E23 阿蘇火山での広帯域地震計ネットワーク観測"阿蘇 94"
- 九州東部の人工地震観測から推定された地殻構造
- 47A. 飛騨山脈下を伝わる地震波の異常な減衰とその原因(日本火山学会 1985 年度春季大会講演要旨)
- D16 日光周辺域の地殻内地震波反射面
- 1984年長野県西部地震(M=6.8)の余震活動から推定される潜在断層系について
- 半自動処理による1978年伊豆大島近海地震の前震・余震分布
- 堂平微小地震観測網による1974年伊豆半島沖地震の余震観測
- 伊豆半島東岸付近の小地震P波震源スペクトルと震源パラメータ
- 新潟県小千谷付近で起る微小地震の震源スペクトルと震源パラメータ
- 南関東下に沈み込む太平洋プレート・フィリピン海プレートの構造とテクトニクス (総特集 南関東の直下地震--その切迫性と被害想定) -- (第1章 地震活動・テクトニクス)
- 地震予知の現状と展望 (都市と防災--阪神・淡路大震災の教訓から)
- 地震と予知情報
- D18 スペクトル比による地殻内反射面下の物性の推定の試み
- D1 太平洋沿岸から日本海東縁部にいたる地震活動の西方移動について : 日光地域周辺の地震活動に関連して
- 微少地震の実時間検測・処理方式(1981-1993年)のまとめ
- 西表島群発地震の地震観測
- 伊豆半島東岸の溶融体を伴う地殻深部不連続面
- 地震波データの自動検側方式とオンライン処理システムにおける稼動実験
- 栃木県北西部,足尾周辺の群発地震活動地域での微小地震反射波による地殻内不連続面の検出とその特異性について〔英文〕
- 東北日本内帯の活褶曲翼部における高角逆断層運動〔英文〕
- 伊豆半島東方沖の群発地震の観測による相模湾,伊豆半島および駿河湾地域の地殻上部構造の推定
- 1980年伊豆半島東方沖の群発地震のリアルタイム検測
- 精密水準改測による小千谷地域の活褶曲の検出
- 重力からみた南極の地下構造
- 微小地震の震央分布と発震機構にもとづく断層系の推定
- 1973年紀伊水道近傍での臨時観測(序報)
- 地震波の減衰の地域性1: 短周期P波の減衰
- 地震波の減衰の地域性-2-マントルで起った微小地震
- 紀伊半島北西部地域における微小地震分布から推定される地震断層系についての予備的研究
- 水準測量により検出された地殻変動
- 和達ダイヤグラムによる微小地震走時データの評価
- 千葉県東方沖地震の概要
- PS変換波から推定された関東地方下の太平洋プレート上面について
- 10 地震活動とクラスタルダイナミクス
- 長野市街地における善光寺地震断層の水準測量
- 地球の音響診断 (<小特集>音響診断)
- 地震計が捉えた雪崩震動
- レシーバ関数解析から推定された日本列島の地殻構造
- 2008年岩手・宮城内陸地震震源域北部における稠密余震観測
- 東海地域下の三次元地震波減衰構造 : 微小地震スペクトルを用いた推定