昭和基地の不燃化に伴う石膏部材の開発と石膏建物の提案

概要

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昭和基地建物の不燃化を計るため, 石膏の耐火性と低温特性に着目し, 石膏を主材とする石膏コンクリートの建物を想定してその可能性を探るため, 石膏の基礎的な諸性能および部材としての諸強度に関する実験を行った。本報告で対象とした石膏は, α型半水石膏, II型無水石膏およびII型無水石膏改良品(II型無水石膏70%, 耐硫酸塩セメント30%, 重量比)で, これらの石膏をマトリックスとするペーストおよびコンクリートの性質について, 特に低温環況下における特性および昭和基地骨材との適応性について検討を行った。この結果, 部材の試験ではII型無水石膏改良品を選定し, この石膏を鉄筋で補強した石膏柱の強度と変形を同一配筋の鉄筋コンクリート柱と比較した。一般に石膏柱は鉄筋コンクリート柱に比べ, ほぼ同一の挙動を示し, 耐力・変形性能についてはむしろ勝るものもあり石膏コンクリートが昭和基地において十分構造部材となり得ることが判明した。最後にこの石膏を使用した昭和基地における石膏建物の提案を行い, その可能性について検討を行った。
国立極地研究所の論文