電波誘導方式(II)
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概要
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人工衛星の打上げにおいて,その達成軌道精度を向上させるためには,それ迄に受けた外乱を検出しつつ,その後の制御を最適化するフィードバック最適化手法の適用が有効であることは,明らかである.本文においては,2段目モータに推力軸制御装置を備え,最終段モータの打出し方向が制御可能な3段式ロケットの電波誘導方式を,実時間のフィードバック最適化の例として検討している.最終段モータに関する誘導法については,文献[1]に示されており,誘導プログラムは,L4SC-2号機打上げ実験において適用されているので,本文では,制御不可能な1段目モータの外乱を補正するための,2段目モータの誘導法を中心として,これを,その後につづく最終段モータの修正とあわせて,全体として最適化する手法について論じられている.これは,単に,2段階の動的最適問題の例に過ぎないが,1段階の正確な最適化計算(2段目モータに対するもの)は,その時点で同時に考慮すべきその後の段階の最適化のために,非常に複雑となる.この場合,ロケットエネルギーの有効利用の要求から,第1段燃焼終了後,筆2段モータ点火までの時間は十分とれず,最終段モータの最適化の場合の様に,最適化計算のために十分な計算時間は許されない.ただし,上と同じ理由により,第1段モータで受けた外乱は拡大していないので,標準軌道からの線形摂動の利用が可能であり,誘導の評価関数も,その後の最適化によって得られるその時間の最適評価を反映する様な,2段目軌道に関する二次形式で近似される.これらの近似により,計算は非常に簡単化され,2段目モータに対する最適解は直ちに求められる.更に,文献[1]に示されるすべての電波誘導読破は,この場合も利用可能である.この様な手法による,実際の誘導に対する適用可能性及び仮定の妥当性は,代表的な飛しょうデータにより,数値的に確認されている.また,この誘導において,最も重要な第1段モータ軌道の推定精度については,最近の実績結果より,10秒程度の推定で,十分な精度が得られることが示される.
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