オンライン軌道推定におけるKalman Filterの応用について
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概要
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人工衛星打上げロケットから衛星への軌道投入を行なうためには,前段ロケットの軌道に関する正確な情報を実時間で得る必要があるがKalman Filterを用いることによりこの様な推定を容易に行なうことができ,軌道推定にはこの方法が有用であることは広く認められている.しかしながら,実際の軌道推定にこのフィルタを応用しようとすると,共分散行列を逐次計算する際に非正定値性が現われる可能性があるため,おもにこの問題によって生じる計算の発散を避けるためには,ある程度経験的な手法が用いられる.本文では,この問題の原因とその際の取扱いを検討するため,主成分分析の手法を応用した結果,この問題点が,有限桁数の計算による丸め誤差で生じるというよりも,追跡すべき軌道の数学的構造の表わし方に起因していることが明らかにされた.これはさらに,適当な座標系を用いることによりある程度改善され得ることも確かめられた.この結果,鹿児島宇宙空間観測所において,衛星打上げに現在用いられているオンライン計算法も,わずかの改良により6〜10けたの低精度計算でも発散の恐れがなく,ほとんど最適なフィルタとなり,実用上きわめて有効と期待できることが示された.
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