L-4Sの空力特性(ラムダ4S型ロケット)
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概要
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L-4S型はL-3H型(3段式)の第3段ロケットの頭部には第4段球形ロケットをおさめた4段式で,外形としてはL-3H型と大きなちがいはない.飛しょう安定はつぎの方法で得られる.第1段 : 尾翼第2段 : 尾翼およびスピン第3段 : スピン第4段 : スピン第1段の尾翼はL-3型およびL-3H型と同じ大きさである.第3段は燃焼高度が高いので,尾翼なしのスピン安定によるが,このさいにロケットの姿勢角と径路角との差,すなわち機体の迎角をできるだけ小さくすることが機体のみそすり運動を小さくするために必要である.このためには,比較的径路角変化の大きい第2段の飛しょうまでは,機体軸をできるだけ飛しょう径路の方向に沿わせる(迎角0に近い飛しょうをさせる)必要があり,したがって第2段は尾翼による安定を主とし,これにゆるいスピン(2.5〜3rps)を加えて,推力線のいずれいよる径路変化を減らすこととし,かつこのスピンをそのまま第3段に受けつがせる方式を採った.第4段は姿勢制御ののちスピンをかけて安定をとる.回転数はかなり低くてもよいが,安全をみて3.5〜4rpsとしてある.この段は姿勢制御装置が順調にはたらいて打ち出されれば,絶対速度7.9km/sに達するので,大気層突入のさい溶けて消滅するが,姿勢制御装置が故障した場合のことを考えて,大気層突入のさいの空力加熱を計算し,その結果,点火のさいの迎角が60°くらいまでは機体から溶けるとの推定を得た.したがって万一姿勢制御装置の故障で迎角がこれ以上になったら,コマンドによって点火をとめることが望ましい.以下に,各段の飛しょう特性の計算に必要な空力諸係数,安定性の考察,発射時の風の影響,第4段の空力加熱などについて記述する.
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