<研究報告>切り枝の水浸部剥皮による水分関係の変化

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1.水挿されたはぜの一年枝,二年枝の切り枝を用いて,水渡部の剥皮処理及び切口にラノリン塗布の処理を行つて,切り枝の水分関係特に含水量,吸水量及び蒸散量に就て実験を行つた。2.剥皮処理を行うと切り枝の凋萎の時期が遅れ,含水量の減少も少いが,ラノリン塗布を行うと凋萎が早く起り,且つ含水量の減少も著しい。3.切り枝の吸水量,蒸散量共に剥皮処理を行つた材料では多く,非剥皮,剥皮材料の何れもラノリン塗布材料では少なかつた。又二年枝の非剥皮材料の吸水量及び蒸散量の減少度は一年枝のそれに比して特に大きかつた。これは二年枝の皮部の水の通過に対する抵抗性が一年枝に比して大きいことによると解せられる。4.茎のみについて前と同様に処理した材料の一部は空気中に放置し,他の一部は水浸して,前者の蒸発量,後者の吸水量を比較した場合には,切り枝の場合と大体同様であるが,剥皮処理を行つた時のその増加度が切り枝の場合に比して一年枝,二年枝共に多くなつた。従つて茎のみの場合は剥皮部分からの吸水が水挿切り枝の場合よりも多くなることが分る。5.以上の結果から,剥皮処理は切り枝の水揚げに対して水の腐敗防止以外に吸水を有利ならしめる積極的利点を特つことが分つた。
1957-04-30

著者

宇佐美和夫
福岡女子大学家政学部

<研究報告>切り枝の水浸部剥皮による水分関係の変化

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