トウガラシ本葉からの不定芽形成に及ぼす培養条件の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
組織培養法を利用した雄性不稔系統の大量増殖法を開発するために、トウガラシ本葉からの不定芽形成に最適の培養条件について検討した。実験にはトウガラシ品種'昌介'を供試し、初生葉の基部側1/4を葉柄の一部を付けて切り出した切片を外植体として以下の実験を行った。 1.発芽後30日苗の本葉切片を用いて不定芽誘導培地の組成について検討した。その結果、ゼアチン3mg/ℓ+カゼイン加水分解物100mg/ℓ,もしくはBAP 3~5mg/ℓ+IBA0.2mg/ℓを添加した培地が適用していることが明らかになたった。2.上の実験で明らかになった好適培地(BAP 5mg/ℓ+IBA 0.2mg/ℓ)を用いて、発芽後25~60日苗の初生葉を培養した。その結果、25日苗では外植体あたり12.7個の不定芽が形成されたが、苗齢とともに不定芽形成能が低下することが明らかとなった。3.以上の結果より、展開直後の若い本葉を上記2種類の培地に置床すれば、多数の不定芽が形成されることが明らかとなった。ただし、不定芽のうち植物体にまで生長したのは約2割と低頻度であったので、培養法の更なる改善が必要と考えられる。Effect of culture conditions on in vitro induction of adventitious buds from leaf explant was studied in pepper cv. 'Shosuke' (Capsicum annuum L.), to establish mass propagation method of genic male sterile line, 'ms-Shosuke', which is in practice used for hybrid seed production. Left explant was trimmed from aseptically grown seedling, and a proximal quarter part of the leaf along with a small portion of petiole was placed on MS agar medium with the proximal cut end embedded in the medium. The cultures were kept at 27℃, and illuminated for 16 hours per day (3000 lux). Leaf explants trimmed from 30 days old seedlings were inoculated on MS media supplemented with different concentrations of zeatin and casein hydrolysate (Table 1), and of BAP and IBA (Table 2). Adventitious buds were induced at high frequency on all of the culture media. Among them the following media were recommended: one to be supplemented with 3mg/I zeatin and 100mg/I casein hydrolysate, and the other with 3~5mg/I BAP and 0.2mg/I IBA. Physiological age of leaf explant, which was expressed as seedling age, proved to be a crucial factor to determine differentiation ability. Average number of adventitious buds induced from an explant was more than 12, when the explant was trimmed from 25 days old seedling (Table 3). IT was therefore concluded that just unfolded young leaf should be used as explant. To promote the development of shoots from adventitious buds, the cultures were transferred to MS medium supplemented with 1mg/I zeatin. Then well developed shoots were dipped in 1mg/I IAA solution for three days and aseptically grown on vermiculite, resulting in the establishment of plantlets with roots. Although rooting occurred in all shoots, the efficiency of shoot development from adventitious buds was only 21% in the best case (Table 4). Therefore the culture method must be further improved to increase efficiency.
- 岡山大学の論文
著者
関連論文
- コムギ春播性遺伝子に関する準同質遺伝子系統群の生育および収量特性
- AFLPマーカーを用いたコムギ出穂特性の遺伝解析
- 秋播型コムギDH集団を用いた出穂特性の遺伝解析
- 79 ムギ類におけるアレロパシー活性の品種間差異
- ムギ類におけるアレロパシー活性の品種間差異
- 陝西省より導入したコムギ遺伝資源の多様性に関する遺伝学的解析4.Ae. tauschiiにおけるStowaway様転移因子の構造解析と系統間変異
- 茨城県で発生しているメロンつる割病菌の評価と抵抗性遺伝資源の探索
- ネパール・ブータンより導入したコムギ遺伝資源の多様性に関する遺伝学的解析 : 2. 在来コムギ品種におけるアイソザイム多型
- アイソザイム遺伝子の地理的分布からみたコムギ系統分化の解析 IV.チベット及び四川省におけるエステラーゼアイソザイムの変異
- 中国四川省チベット高原におけるオオムギ品種とその栽培
- SSRマーカーを利用したメロンの種苗管理 : I. 品種識別及び純度検定
- トマト雄性不稔の突然変異系統における稔性回復の季節依存性
- トマト品種'ファースト'由来の雄性不稔突然変異系統における成熟花粉の染色特性と不稔性の遺伝様式
- トマト'ファースト'より作出した雄性不稔系統T-4における稔性回復の季節的変動
- アイソザイム多型に基づくメロンF_1種子の純度検定
- 完全春化条件でもオオムギの春播性遺伝子は早晩性に影響する
- RAPD分析に基づくアフリカ及びアジア在来メロンの遺伝的多様性及び類縁関係
- メロンにおける核ゲノム及び葉緑体ゲノムの多様性と栽培メロンの起原
- メロンにおける水中発芽性の変種・品種間変異の解析
- 東・南アジア在来メロンのRAPD分析に基づくマクワ・シロウリの起源の解析
- アワ Waxy 遺伝子の構造変異と分化 3. RFLP によってモチ性品種に特異的に見出された 2 種類の挿入配列
- アワwaxy遺伝子の構造変異と分化 2.アワwaxy遺伝子の構造の決定及びイントロン長多型
- メロンつる割病菌株に対するインド在来メロン系統の抵抗性評価
- 東アジアにおけるコムギの多様性と伝播
- トマト花粉非崩壊型の雄性不稔発現に可稔抑制遺伝子が関与している可能性について
- メロンにおけるACC合成酵素遺伝子及びACC酸化酵素遺伝子領域でのマイクロサテライト及びCAPS多型
- 成熟関連遺伝子領域でのマイクロサテライト変異に基づく東アジア在来メロンの系統分類
- コムギ春播性遺伝子 Vrn-B1に関する dCAPS マーカーを用いた解析
- コムギ品種間雑種における純粋早晩性の分離及び選抜効果
- トマト'ファースト'より育成した雄性不稔突然変異系統の葯培養における高頻度カルス誘導およびシュート再生条件
- トマト'ファースト'より育成した雄性不稔突然変異 3 系統の花粉崩壊と遺伝様式
- トマト品種'ファースト'より育成した雄性不稔突然変異系統の葯培養における高頻度カルス誘導
- トウガラシ本葉からの不定芽形成に及ぼす培養条件の影響
- 四倍体コムギ品種エンマーおよびピラミダーレの開花特性とその遺伝的制御機構
- コムギ低温要求性に関する準同質遺伝子系統の幼穂発育特性