アイソザイム多型に基づくメロンF_1種子の純度検定
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概要
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わが国のマスクメロン品種の大部分はF_1品種であるが,交配時の除雄が不完全な場合には,F_1種子に母親系統の自殖種子が混入してしまう。そこで本研究では,メロンにおけるF_1種子の純度検定に有効なアイソザイムマーカーについて検討するために,C.meloの5変種の純系70品種,及びわが国で市販もしくは試作されているF_138品種(Tab1es 12)についてアイソザイム変異を解析し,一部の品種について純度検定を行った。酸性フォスファターゼ(APS)ザイモグラム(Fig.1)により,供試品種は5群に分類された。純系品種に関しては,D型が全ての変種に存在したのに対して,C型は変種フユメロンに特異的に存在するという特徴が認められた(Tab1e 3)。一方,マスクメロンのF_I品種はすべてA型であり(Tables 23),APS遺伝子に関してホモ接合と考えられた。従って,両親系統はともにA型であり,APS分析によるF_1種子の純度検定は不可能なことが判明した。パーオキシターゼ(POX)分析の結果,Px_2座での対立変異により供試品種を戸物,Px_<2A>,Px_<2B>及びヘテロ型の3品種群に大別することができた(Fig.2)。わが国のマスクメロン育種の基幹品種のうち,高晶質の`Earl's Favourite'及びその派生系統がPx_<2B>型,耐病性品種の`久留米2号'や`安濃3号'などがPx_<2A>型であった(Table l)。従って,高品質かつ耐病性という育種目標に沿ってヘテロ型のF_1品種が多く育成され,その結果,供試したF_1品種の半数を占めたものと考えられた(Tables 23)。ヘテロ型のF_1品種では,母親系統の自殖種子はPx_<2A>型もしくはPx_<2B>型で,ヘテロ型のF_1種子と識別可能であり,この解析に要する日数は9日である。以上のことから,わが国のF_1品種の多くを占めるヘテロ型品種については,Px_2座での対立変異を利用した種子の純度検定が実用的に可能なことが明らかとなった。そこで,市販されているヘテロ型のF_1品種4品種について実際に純度検定を行った結果,1品種で種子の混入が認められ,その頻度はO.8%であった。
- 日本育種学会の論文
- 1998-09-01
著者
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