<原著>ラット大腸癌細胞におけるsialyl Lewis Xの発現が肝局所免疫機構に与える影響
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概要
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癌の肝転移を理解するためには, 癌細胞側因子と宿主側因子に加えて, これらの二つの因子の相関からの解析が必要である.この論文では癌細胞側因子のひとつである腫瘍関連糖鎖抗原が宿主側因子である肝局所免疫機構に与える影響について検討した.ラットの肝類洞内リンパ球の表面抗原を解析し, その細胞傷害活性を脾リンパ球のそれと比較した.その結果肝類洞内リンパ球はnatural killer(NK)系の細胞が主体を占めT細胞抗原を共有するNK細胞, すなわちNKT細胞も特徴的に存在していた.これらは脾リンパ球に比べてはるかに強力な抗腫瘍活性を有していた.次にラット大腸癌細胞株RCN-9とその肝高転移株RCN-H4で細胞表面糖鎖抗原の発現性を比較したところ, RCN-H4ではsialyl Lewis Xが強く発現していた.これらの腫瘍細胞の肝類洞内リンパ球による傷害に対する感受性を検討した結果, RCN-9は肝類洞内リンパ球による傷害に対する感受性が高いのに対し, RCN-H4は感受性が低かった.ところがneuraminidase処理によりRCN-H4のsialyl Lewis Xの発現を低下させると, 肝類洞内リンパ球による傷害に対する感受性が亢進した.このことから, sialyl Lewis Xには肝類洞内リンパ球のRCN-H4に対する傷害活性を阻止する作用があると考えられた.さらにin vivoでの肝転移モデルにおいても, RCN-H4は肝転移を形成しやすいがneuraminidase処理により肝転移形成能が抑制された.以上より, 癌細胞表面のsialyl Lewis Xは肝局所免疫機構回避に働いている可能性が示唆された.
- 近畿大学の論文
- 2000-06-25
著者
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