被服工作の時間分析 : 女物袷羽織について(B. 生活科学)
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概要
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(1)作業別時間及度数について(a)***による袷羽織の製作に要する時間は平均約9時間である。各作業要素の占める時間のウエイトは, 作業者の能力に影響なく恒定している。(b)総時間のうち「縫う」「待針うち」が60%以上を占め, この作業の能率化が作業時間短縮に最も影響がある。これは単衣・袷長着の場合に共通して云えることである。(c)作業度数は244.6で, 単衣長着の224.5と似た数字が出ており, 袷長着の341にくらべ, かなり少いが「縫」「待針うち」「糸通し」「調整」の度数が全体の60∿70%を占め, 単衣, 袷長着と同傾向である。(2)部位別時間及度数について(a)袖部位が160分余で29.5%の時間を占め, 単衣袖の約4倍弱。度数では34.9%を占め, 単衣袖の2.4倍となり, 袷袖製作の複雑さを示している。(b)衿部位が25.5%の時間を占め単衣, 袷長着にくらべると時間の割に度数が少いのが, 羽織衿の特徴と思われる。(3)姿勢別作業時間, 度数は単衣長着, 袷長着と同傾向であるが, 作業の遅速と姿勢との相関々係はみられなかつた。以上, 今回は袷羽織についての調査であるが, その作業能率化の問題点として考えられることは, 既報の長着と共通した「縫う」「待針うち」などの基礎要素, 袷としての袖, 羽織独特の「衿」の三点ではないかと思う。
- 京都府立大学の論文
- 1965-09-25
著者
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