ポリエチレングリコール処理木材の寸法安定性(林学部門)
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概要
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20℃の条件下で, シトカスプルース及びカツラの心材部から採取したJISタイプの収縮率測定用試験片にポリエチレングリコール(PEG)処理(公称分子量 : 400,600,1,000,1,540,2,000,濃度 : 5,10,20,30,50%)を行い, 処理材の寸法安定性(ASE)について検討した。得られた主な結果は次のとおりである。1) PEG含有率は1∿2の例外を除いて分子量には無関係であり, 濃度とともに直線的に増加した(Fig. 1,Fig. 2)。2) Bulking ratioはPEGの濃度が30%で含有率が45%(カツラ)または50%(シトカスプルース)に達するとほぼ一定となり, 細胞壁内がPEG分子で飽和されることが認められた(Fig. 2,Fig. 3)。3) Bulking ratioは同一濃度の場合にはカツラのR-方向の1∿2の例外を除いて分子量の低下とともにほぼ直線的に増加するが, 同一分子量における濃度変化に関しては樹種や構造方向により傾向を異にすることが認められた(Fig. 4)。4) ASEとbulking ratioをプロットした場合, 両樹種のT, R-方向にいずれの場合も直線関係が得られた(Fig. 5)。5)シトカスプルースのT, R-方向ではPEGの分子量の低下, 濃度の増加によってASEが増大し, PEG-400の場合には濃度20%以上で, PEG-600の場合には濃度30%以上で100%またはこれに近いASEが得られた(Table 1,Fig. 6)。6)カツラのT, R-方向ではPEGの分子量や濃度によってASEは幾分異なる傾向を示すが, PEG-400の場合には濃度30%以上でASEは95∿98%に達した(Table 2,Fig. 7)。
- 1983-11-15
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