塗装木材の内部応力に関する研究 IV : 吸, 放湿下における木材用塗料塗膜の膨潤, 収縮性について(林学部門)
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概要
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塗装木材の塗膜内部に発生する内部応力を明らかにするために, Table 1に示す組成および配合比をもった4種の木材用塗料について, 吸, 放湿下における塗膜の膨潤, 収縮率を測定した。塗膜の膨潤, 収縮率は, アルミ帯片の片面に硬化塗膜を形成して両端支持はりにし, 吸, 放湿下におけるスパン中央の最大たわみ量の変化を測定して(1)式からまず塗膜の膨潤または収縮応力(p)を求め, これと塗膜のヤング係数(E_1)(Fig. 1)からp/E_1として計算した。得られた主な結果を要約すると次の通りである。1)塗膜の膨潤または収縮応力の発生経過はFig. 3の通りで, その大きさの順位は アミノアルキッド>ポリウレタン>ポリエステル>ニトロセルロース・ラッカーである。2)塗膜の膨潤, 収縮率はTable 2,発生経過はFig. 5の通りで, その大きさはいずれも ポリウレタン>アミノアルキッド>ポリエステル>ニトロセルロース・ラッカーである。3)測定した塗膜の膨潤率(いわゆる"みかけの膨潤率")は吸湿水分の容積量にもとづくそれよりもはるかに小さく(Table 2,Table 3参照), とくにこの傾向はニトロセルロース・ラッカーにおいて顕著である。4)塗膜内収縮応力(硬化ひずみ)の吸湿に伴う緩和量(ε)はTable 3の通りで, 相対湿度5→80%の場合に"みかけの膨潤率"に対して, ポリエステル : 10.6%, ポリウレタン : 5.2%, アミノアルキッド : 12.0%, ニトロセルロース・ラッカー : 32.7%に達する。5)塗膜の含水率(Fig. 6)と膨潤率または収縮率との関係はFig. 7の通りで, 吸, 放湿の開始部分を除くと近似的に直線関係が成り立つ。6)塗膜と木材との膨縮差にもとづく塗膜内内部ひずみの大きさはTable 4の通りで, 塗料の種類によっては塗膜にわれ発生の危険が認められる。
- 1970-10-15
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