木材の物理的性質とその化学成分との関連性に関する研究 : 脱リグニン木材の吸湿性について
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概要
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木材からリグニンを除去すると吸湿性の高まることはリグニンが木材に比較して吸湿性に乏しいことより当然期待されるのであるが, ClO_2でリグニンを除去する場合にはその過程において試料の吸湿性が急激に増加する現象が認められた。また木材とホロセルロースの角質化の難易について検討した結果, 木材を脱リグニンすると著しく角質化を起し易くなることを認めた。I, IIにおいそれぞれの実験結果を考察したが, それらを総括すると : 木材中ではこれを構成する各成分は相互にある程度結合している。そして相互に吸湿性に影響を及ぼし合つている。とくにリグニンはそれ自体吸湿性に乏しい物質であるが, 木材中ではさらにヘミセルロースと結合して, ヘミセルロースの高い吸湿性を抑制しているらしい。またヘミセルロースが吸湿性の高い物質であることは最初にのべたが, これは木材より単離した場合, または, ホロセルロース中に存在する場合であつて, 木材中では恐らくリグニンと結合しているので, その親水基はリグニンで覆われており, 自由に吸湿性を発揮することができず, リグニンを除くことによつてはじめて自由に吸湿性(親水性)を発揮しうるようになるものと推定される。
- 京都府立大学の論文
- 1959-09-01
著者
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