低温時に硬化する卵黄についての研究(予報)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
最近養鶏家の間で冬季特に厳寒期に卵黄が硬化し, 卵白との混和が不可能となる卵黄硬化卵(所謂スポンヂ卵)が多数発見されている。筆者等は卵黄硬化卵に関係があると思われるカポツク粕20%添加配合飼料と実際に卵黄硬化卵の産出が見られたと云う配合飼料を用いて卵黄硬化卵の産出試験を行い, 得た卵黄硬化卵についての一般所見, 卵黄の一般化学組成, 卵黄脂肪の特性について調査したのでその結果を報告する。(1) 0°∿3℃で貯蔵した場合, 正常卵の卵黄は硬化しなかつたが, 卵黄硬化卵は明らかに同温度で卵黄が硬化し, 卵白との混和も不可能であつた。又卵黄色も卵黄硬化卵の方が色が濃く橙色を帯びていた。但し温度が上昇すれば除々に軟化し, 間もなく正常卵と同様の性状・色沢を示すに至る。(2)卵黄の一般成分の内水分含量は卵黄硬化卵が正常卵のそれに比してやや低い値を示している。(3)卵黄硬化卵より抽出した卵黄脂肪の沃素価は正常卵のそれに比して低い値を示した。この点恐らく飼料中の飽和脂肪酸を含む油粕類が卵黄脂肪に影響を与えて沃素価を低めたものと思はれる。卵黄脂肪については更に燐脂質或は不鹸化物についての調査が必要であるが, 恐らく飽和脂肪酸を多く含む油粕類が飼料中に添加されると卵黄脂肪中の飽和脂肪酸の割合が多くなり, その結果沃素価の低い, 融点及び凝点の高い脂肪となるため0°∿3℃で卵黄が硬化したものと想像される。
- 京都府立大学の論文
- 1959-09-01
著者
関連論文
- 鶏卵の冷蔵中および冷蔵卵の蔵出し後における卵質の変化(農学部門)
- 卵殻破壊強度の測定法についての検討(農学部門)
- 粗飼料成分に対する一般分析法と Van Soest 法の比較 : II イネ科およびマメ科粗飼料における比較(農学部門)
- 粗飼料成分に対する一般分析法と Van Soest 法の比較 : I 刈取時期を異にするエンバクおよびイタリアンライグラスにおける比較(農学部門)
- 鶏卵の coating 処理に関する研究 I : シリコンおよび流動パラフィンの coating 効果(農学部門)
- 材料検査機 (Tensilon UTM-4L) による鶏卵卵殻の加圧変形量の測定(農学部門)
- 産卵鶏の産卵クラッチの長さと卵殼諸形質との関係(農学部門)
- 有精卵と無精卵の保存中における卵質に及ぼす洗卵の影響(農学部門)
- 京都市内市販鶏卵卵質の季節的変動(農学部門)
- 卵殻形質と卵殻微細構造の関係(農学部門)
- 破卵に関する調査(農学部門)
- 鶏卵の卵殻強度と卵諸形質との関係(農学部門)
- 鶏の消化率測定法としての人工肛門法と化学的分離法との比較(農学部門)
- 和牛の肉質に関する基礎的研究 : III. 化学成分の相互関係ならびに水分から肉組成の推定 (2)(農学部門)
- ブロイラーの増体量ならびに飼料効果に対する酵素剤の影響(農学部門)
- Gerber butyrometer による牛肉脂肪の迅速定量法(農学部門)
- 低温時に硬化する卵黄についての研究(予報)
- 和牛の肉質に関する基礎的研究 (I) : 市販牛肉の等級と化学組成並びに組織構造の関係
- 青刈飼料としてのレンゲに関する研究 : II. 刈取時期と養分收量の関係