<短報>臨地実習II(地域)における学生の看護観に関する研究 : 学生の看護観と教授-学習過程の連関に焦点をあてて
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概要
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本研究の目的は, 臨地実習II(地域)における学生の看護観の特徴と教員の指導過程の特徴を明らかにし, 教授-学習過程を評価することである。研究対象は, 平成13年度臨地実習II(地域)で研究者が実習指導を担当した1学生の, 対象に良い変化が見られた看護過程及び教員の指導過程である。研究方法は, まず, 実習中の記録および実習終了後のレポートに書かれたキーワーズを手がかりに実習場面を思い起こし, 学生の看護観の発展に影響を与えたと思われる看護場面を取りだし, 指導過程と重ねながら第三者が一義的に描けるように再構成して記述した。そして, 場面の意味と, 各看護場面の学生の表現から読み取れる認識の特徴, 指導過程における教員の認識の特徴を抽き出した。それをもとに, 学生の看護観の特徴と教員の指導過程の特徴を明らかにし, 教授-学習過程を評価した。その結果, 学生の看護観には以下の特徴がみられた。1)家族の枠組み, 対象特性把握の枠組みを持つことができている。2)自己の体験を重ね, 対象への心のこもった関心を持ち, 家族員それぞれの立場に立場の変換をおこなうことができている。3)看護上の問題の解決のために, 家族や教員, 地域の様々の資源を活用することができている。4)チームの一員としての立場を認識し, チームメンバーと協働することができている。5)自己の看護過程を客観視し, 看護の立場から意味付け自己評価ができている。さらに, 教員の指導過程には, 以下の特徴が見られた。1)保健師である教員の位置, 家族の位置, 学生の位置, 現場の保健師の位置に, 自在に立場の変換をおこないながら, フィールドの環境や資源の状況を重ねあわせつつ, 家族に必要な看護が継続されること, 学生の学びが発展することを目指し, (1)家族への看護の方向性を学生と突き合わせる, (2)学生の関わりを看護の立場から意味付ける, (3)学習環境を整える, という方法で指導を行っている。このことから, 臨地実習II(地域)において実践方法論の修得レベルの高かった学生の看護観には発展が見られ, その発展には講義や教員の実習指導が影響していることが確認できた。
- 宮崎県立看護大学の論文
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