ポストコアの除去に自家製アタッチメントを製作した1症例
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概要
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症例の概要: 患者は27歳の男性で, 上顎左側前歯部の痛みを主訴に来院した. 近医にて感染根管治療が必要との判断から, 上顎左側中切歯に対してポストコアの除去が試みられたが不能であった. 本学初診時にはすでにコア部分は過度に削合されており, リトルジャイアントを応用するも, コア部分に対して十分な把持が得られず同様に除去不能であった. そこで, コア部分に適合する自家製アタッチメントを金銀パラジウム合金によって製作し, これを介してリトルジャイナントを応用したところ, 2回目の来院時には容易にポストコアの除去を成功させることができた. ポストコア除去後の歯根には破折線等の異常は観察されず, 除去に伴う痺痛の増悪も認められなかった.<BR>考察: すでに削合されていたコア部分に対して, リトルジャイアントに合わせてさらなる形態修正を行えば, 金属の強度低下による破折という危険性が予測された. したがって, 本症例では現状のコア部分の強度を維持したままでポストコアを除去することが必須であった. リトルジャイアントの特性を熟知した上で, 最適な自家製アタッチメントを製作できたことが, 今回の成功につながったものと考察される.<BR>結論:ポストコア除去に困難を極めた症例に対して, 的確な判断のもと自家製アタッチメントを製作しこれを併用することで, 無事に除去を成功させることができた.術後には, 患者, 術者ともに高い満足感を得ることができた.
- 社団法人 日本補綴歯科学会の論文
- 2006-10-10
著者
-
山下 秀一郎
松本歯科大学大学院顎口腔機能制御学講座
-
加藤 優美子
松本歯科大学総合診療科
-
小池 秀行
松本歯科大学大学院顎口腔機能制御学講座
-
加藤 優美子
松本歯科大学口腔診断科
-
汲田 健
松本歯科大学歯科技工士室
-
小池 秀行
松本歯科大学歯学部口腔生理学講座
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