維持透析患者の重炭酸イオン濃度の推定式
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概要
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代謝性アシドーシスの状態把握は透析患者においても重要であるが,透析患者についての酸塩基平衡やアニオンギャップ(AG)に関する文献は少なく,また生化学検査と比し,血液ガス分析を測定する機会は極めて少ない.血液ガス分析でしか得られない重炭酸イオン濃度(HCO3-)を通常測定する生化学検査のデータを用いて代謝性アシドーシスの状態が推測できれば臨床的に有用であると考え,維持透析患者83名のシャント静脈血から得られた血液ガス分析の結果と生化学検査の結果を用い,AGとよい相関を認める血清無機リン濃度(IP)を用いてHCO3-の近似式を得,日常診療で使用しやすいように簡略化し,推定式HCO3-=Na−Cl−IP−7を得た.この式はHenderson-Hasserbalch式から求めたHCO3-とよい相関を認めた.今回の検討で透析患者ではAGの形成にIPが大きく関係していることが示唆された.このことは透析患者の高リン血症が,リン酸塩としてAGの構成要素として健常人とくらべて増大していることを改めて示すとともに,透析患者で増加していると考えられている不揮発性酸とIPとの間に相関がある可能性を示している.1施設での検討のため,今後上記推定式の有用性について多施設での検討がなされることを希望する.
- 社団法人 日本透析医学会の論文
- 2010-11-28
著者
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金 鐘一
愛仁会千船病院人工透析科
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深川 雅史
東海大学医学部内科学系腎代謝内科
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深川 雅史
神戸大学附属病院腎臓内科・代謝機能疾患治療部
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深川 雅史
東海大学医学部付属病院腎・内分泌・代謝内科
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深川 雅史
神戸大学 代謝機能疾患治療部・腎臓内科
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廣瀬 幸恵
愛仁会千船病院人工透析科
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中西 昌平
愛仁会千船病院人工透析科
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