肛門部癌の初期像について

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概要

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肛門部癌は，大腸癌取扱い規約では肛門管癌と表現している疾患で比較的まれである．肛門管を覆う上皮は大きく別けて，肛門周囲皮膚，扁平上皮よりなる肛門上皮，歯状線近傍の移行帯上皮，直腸粘膜の円柱上皮の4種類からなる．したがって，解剖学的構造の特殊性から肛門部癌も多彩な病像を示す．肛門部癌の発生頻度は年度別全国大腸癌登録からすると大腸癌の0.7∼1.8%程度とされ，筆者らの施設でも全直腸肛門部疾患の1%程度であった．過去10年間に経験した101例の内訳は直腸型が59例(58.4%），肛門腺由来が6例(5.9%），痔瘻癌7例(6.9%），扁平上皮癌17例(16.8%），類基底細胞癌2例(2.0%），悪性黒色腫3例(3.0%），その他7例(6.9%）であった．初期の肛門部癌は非常に稀有で，初期像を把握することは難しいが，肛門部の日常診療に際しては触診を十分に行い，必要に応じて積極的に生検を行い病理組織学的検査に供することが大切である．
日本大腸肛門病学会の論文
2008-10-01

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