抗リン脂質抗体症候群における臨床像と治療
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概要
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抗リン脂質抗体症候群の検査基準として,抗リン脂質抗体は,感染症でみられる本抗体を除外するために,12週間以上の間隔で2回以上陽性となることが条件になっている.抗リン脂質抗体の抗原に対する反応性は多様であり,酵素免疫測定法では,カルジオリピンなどのリン脂質以外,β2-グリコプロテインI,プロトロンビンといったリン脂質結合性蛋白質に反応し,また,異なる測定方法で,ループスアンチコアグラントが同定される.本症候群の臨床特徴として,動脈ないし静脈血栓症,自然流産をはじめとする妊娠合併症が示されている.このほか,抗リン脂質抗体に関連する臨床所見として,循環器所見(肺高血圧症,心臓弁膜症など),神経所見(認知障害,記憶障害,てんかん,舞踏病,偏頭痛,横断性脊髄炎,多発性硬化症など),皮膚所見(網状皮斑,皮膚潰瘍,四肢壊疽),腎所見(腎静脈血栓症,腎動脈狭窄,腎糸球体病変),血小板減少症などが注目されている.血栓症に対する一次予防において,薬物療法が有用であるというエビデンスは得られていない.血栓症の二次予防では,moderate intensityなワルファリンによる抗凝固療法,アスピリンによる抗血小板療法が有用であることが明らかにされている.妊娠合併症の治療では,アスピリン内服とヘパリンあるいは低分子ヘパリン皮下注射の併用療法が有効であるとされる.
- 日本臨床免疫学会の論文
- 2008-06-30
著者
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