RHICでの高エネルギー原子核衝突実験の幕開け
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
世界最高エネルギーの原子核衝突型加速器であるRHICでの最初の3年間の実験で何が分かったかを解説する.RHICの主目的は,重い原子核同士を超高エネルギーで衝突させることにより,閉じ込めの破れた状態のクォークとグルーオンからできている超高密度の新物質,クォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)を作り出すことにある.金-金の中心衝突で高横運動量粒子や逆側ジェットの生成が強く抑制されていること,そしてそのような抑制効果が重陽子-金衝突では見られないことから,RHICの重原子核衝突では非常に高密度の物質が生成されていることが確立した.金-金の非中心衝突で強いelliptic nowが発生していることが観測され,これはこの物質の急速な熱平衡化が起こっていることの強い証拠である.生成したハドロンの粒子組成や運動量分布は反応終状態が局所的熱平衡状態にあるとのモデルと矛盾しない.チャーム生成およびJ/Ψ粒子生成の測定も始まった.これらの測定はRHICで作られた高密度物質の性質をさらに解明するために重要である.
- 社団法人日本物理学会の論文
- 2004-05-05
著者
関連論文
- 22pBS-11 PHENIXシリコンピクセル検出器組み立て後の品質検査(22pBS 検出器III,実験核物理領域)
- 22pBS-10 PHENIXシリコンピクセル検出器ラダーの組み立て(22pBS 検出器III,実験核物理領域)
- 21pBS-3 アクティブ標的GEM-TPCの性能評価(21pBS 検出器II,実験核物理領域)
- RHICからLHCへ--高エネルギー重イオン衝突実験のこれから (2009年の成果の総まとめ 特集:物理科学,この1年) -- (原子核物理)
- 31aSB-3 PHENIX RICH検出器用後段読み出し回路の開発及び性能テスト
- 31aSB-2 PHENIX RICHを用いたDilepton Trigger
- 31aSB-1 LEDを用いたPHENIX RICHのCalibration System
- 25aSB-5 PHENIX RICH用FEEのAnalog回路特性
- 25aSB-4 PHENIX RICH 検出器用FEEの総合性能評価
- 28p-YB-11 PHENIX RICH読み出し回路 : 高速データ転送