司会のことば(<シンポジウム>変革期の社会周題への取り組み : 精神発達と適応支援)(第45回日本心身医学会学術総会)

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激動するわが国の社会は,そのめまぐるしい急速な変動の中で多くのストレスを生み出し,複雑な疾病構造を作り上げているが,なかでもいわゆる乳幼児期から青年期の,精神発達のただ中にある世代への影響は,成人期以後にみられる様相をはるかに超える複雑で困難な状況を生み出している.いうまでもなくこの時期は,人生の基盤となる人格や精神活動を作り上げるきわめて大切な役割を担っており,後半生に大きな影響を及ぼすことが明らかになっているが,身体化する障害もまた,成人の縮小版でないきわめて特異な表現型となってわれわれの前にその姿を現している.本シンポジウムはこうしたきわめて現代的な問題と課題を各発達年齢層にみられる代表的な病像を通して,その分析から対策までを5人のシンポジストにお願いして討論いただいた.安部計彦氏は,児童虐待の心身への影響について,虐待の種類やその現われ方,なかでも身体症状への固着現象の起こり方を解説していただき,その根底に生命の安全を長く脅かされて自我の心理境界が崩壊し歪んだ形での適応が行われた結果,他者の支配を嫌い自他を信じない人間像の形成へとつながるメカニズムを示され,身体的対応よりも心理的対応と安定化が重要であることを強調された.
日本心身医学会の論文
2005-03-01

司会のことば(<シンポジウム>変革期の社会周題への取り組み : 精神発達と適応支援)(第45回日本心身医学会学術総会)

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