踵骨の距骨関節面の形態変異についてI : 現代日本人資料を用いた基礎形態学的研究
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概要
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踵骨の距骨関節面にみられる形態変異の形態学的意義や機能的意義については,いまだ統一された見解が得られていない。本研究では,性別と年齢が既知である現代日本人成人骨格標本を用い,踵骨の距骨関節面をSingle Facet Type, Continuous Type, Demarcated Type, Separate Type, No Anterior Facet Typeの5型に分類して形態学的分析を行った。その結果,1)出現パタンに強い左右の連関が認められた;2)出現頻度に左右差はみられなかった;3)出現頻度の性差には5%水準で有意差が認められた;4)出現頻度に年齢差はみられなかった;5)踵骨と距骨の関節面形態は各分類型でほぼ一対一の対応関係を示した;6)前・中距骨関節面はContinuous Typeで浅く,Demarcated Type, Separate Typeの順に深くなるという所見が得られた。これらの結果に先行論文の知見を踏まえると,踵骨の距骨関節面の形態変異が遺伝的背景の濃い“形態小変異”のひとつであるとしても,その機能的側面を無視することができないことが示唆された。
- 日本人類学会の論文
- 2004-12-01
著者
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田中 健太郎
東北大学大学院医学系研究科整形外科学分野
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澤田 純明
東北大学大学院医学系研究科人体構造学分野
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坂上 和弘
東北大学大学院医学系研究科人体構造学分野
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百々 幸雄
東北大学大学院医学系研究科人体構造学分野
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澤田 純明
聖マリアンナ医科大学医学部解剖学講座
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百々 幸雄
東北大学医学部人体構造学分野
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百々 幸雄
聖マリアンナ医科大学 医学部解剖学講座
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DODO Yukio
Tohoku University School of Medicine
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