出生直後における新生児テビロン肌着の温湿度測定
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概要
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【目的】本研究目的は、保温に効果があるとされる“テビロン”肌着を新生児に着用させ、発汗データロガーを用いて、肌着の内側と外側の温湿度測定により臨床での有用性を検討することである。【方法】対象は、2010年9月~2011年6月にA病院で正期産、経膣分娩にて出生した新生児8例である。データ収集方法は、出生後テビロン肌着を着衣し、翌日の脱衣までの間の肌着内外の温度と相対湿度を身体発汗データロガーにて連続測定した。その間の新生児の行動(啼泣、授乳等)は授乳記録用紙から把握した。10秒ごとに記録された温度と相対湿度データは解析ソフトOrigin 8を用いて絶対湿度に変換した後、発汗のタイミングと発汗レベルを検出した。発汗のタイミングと発汗レベルは経時的に新生児の啼泣・授乳等の行動記録を合わせて分析した。【結果】衣服内の温度は32℃ から38℃ の範囲であった。相対湿度は20%から90%前後であった。啼泣時は、内側絶対湿度が急激に上昇後下降した。抱っこや授乳時は外側の絶対湿度が急上昇後下降するなど絶対湿度の変動が大きかった。一方、睡眠時は皮膚蒸散量が減少しており、内側の温湿度が外側の温湿度より高かった。また、母親が抱っこや授乳・添え乳時に肌着の外側の温度が高くなる傾向があった。【考察】今回の結果より、テビロン肌着は水分を外に吐き出す機能を有しており、新生児が啼泣するなど発汗しても、すみやかにさらっとした爽快感が得られると考えられた。また、新生児と母親の行動(睡眠、啼泣、授乳、添え乳、添い寝)等の記録と肌着内外の温湿度データが示す解釈とが一致していたことから、連続モニターが示す発汗データロガーは、新生児の状態と母親の育児行動を推察し得る有益なデータにもなり得ることが考えられ、さらに母子関係を予測する指標としての可能性が示唆された。【結論】テビロン肌着は、水分量を外に吐き出す機能を有しており、臨床での有用性が示唆された。[Objectives] The purpose of this study was to test the effectiveness of underwear made of“Teviron” material, with reportedly excellent thermal insulation and moisture vaportransmission, for newborn use. A sweat data logger was put inside and outside theunderwear worn by newborns and the clinical usefulness was evaluated byexamining the environment inside and outside the underwear.[Methods] The study involved 8 newborns vaginally delivered at full-term in Hospital A,between September 2010 and June 2011. Regarding the data collection method,Teviron underwear was put on newborns after birth, and serial measurements oftemperature inside and outside the underwear, and relative humidity using a bodysweat data logger were taken until the underwear were removed the next day.Newborns’ behaviors during the time (e.g., crying and breast-milk intake) wererecorded on report forms. Data on temperature and relative humidity recordedevery 10 seconds were converted to absolute humidity using the analysis software,Origin 8. The timing and level of sweating were also investigated, and analyzedover time based on behavioral records such as newborns’ crying and breast-milkintake.[Results] Temperature inside the clothing ranged from 32 to 38℃. The relative humidityranged from 20 to approximately 90%. When crying, the absolute humidity in theclothing increased and then decreased rapidly. When the newborns were being heldand nursed, the absolute humidity outside the clothing increased and thendecreased rapidly, indicating that the absolute humidity ranged markedly.Meanwhile, when sleeping, the inside temperature and humidity were higher thanthe outside values, because evaporative losses from the skin decreased. Whenmothers breast fed newborns while holding them in a transverse lying position, thetemperature outside the underwear tended to increase.[Discussion] These results suggest the Teviron underwear has the function of letting moistureout ; thus newborns can rapidly feel dry to the touch even though they becomesweaty due to crying. Because behavioral records of newborns and mothers - e.g.,sleeping, crying, lactating, and sleeping together - agreed with the interpretation basedon temperature and humidity data inside and outside the underwear, the sweatingdata logger, employing serial monitoring may provide useful data whereby we caninfer newborns’ activity and mothers’ child-care behavior, and there is a possibilityof it becoming an indicator whereby we can predict maternal and child relationships.[Conclusion] Teviron underwear had the function of letting moisture out, possibly contributingto the comfort of newborns.
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