妊娠末期におけるストレス対処能力と出産満足度・産後うつ傾向の関連

概要

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産後うつ傾向は早期に発見され対処されれば心理的健康障害にいたる結果を阻止できるが,うつ傾向を見逃すと精神障害にいたる可能性があると指摘されている。本研究は産後うつ傾向をストレス反応と位置づけ,妊娠末期におけるストレス対処能力と産後うつ傾向の関連,さらに出産満足度との関連を明らかにすることを研究目的とした。調査期間は2004年4〜10月であった。対象者は54名で,妊娠末期と変形早期の2時期に質問紙調査を実施した。調査内容は妊娠末期では基本的属性,ストレス対処能力の指標としてSense of Coherence(以下SOC)とし,産褥早期では分娩経過,出産体験の自己評価尺度短縮版,産後うつ尺度とした。その結果, socと出産満足度には正の相関があり(r_s=0.32),SOC得点が高値であるほど出産満足度が高かった。また,妊娠末期におけるSOCの低値群は,高値群に比べ変後うつ傾向が高く,出産満足度の低値群は,高値群に比べ産後うつ傾向が高かった。よってSOCが低い妊婦にとって出産満足度を高める重要性が示唆されたとともに,妊婦のSOCに注目する意義が示された。
日本母性衛生学会の論文