潮岬周辺海域の微細構造
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概要
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By using the training ship Seisui-maru, we observed of detailed oceanic condition in the vicinity of Cape Shionomisaki, the tip of the Kii Peninsula in April, 2009 and in October, 2009. The sea level difference between Kushimoto and Uragami tide stations is used to monitor the flowing path of the Kuroshio, or to identify whether the Kuroshio is taking the straight path or the meandering path. It is shown that this sea level difference occurs in the narrow portion of about 7 km from off Cape Shionomisaki to off Oshima Island, and that the sea level difference is mainly created by the oceanic condition in the thin surface layer above 150 m. This indicates that the structure of the Kuroshio does not influence directly to the sea level difference between Kushimoto and Uragami. The sea level difference indicates whether warm and light Kuroshio Water is brought into shelf region to the west of Cape Shionomisaki or not, and whether the sea level difference between coastal waters to the west and to the east of Cape Shionomisaki. The success of this elaborated observation owe to improved facilities of the new training ship Seisui-maru2009 年 4 月と 10 月の 2 回にわたって, 勢水丸を潮岬周辺に派遣して, 従来に見られない詳細な海況の観測を実施した。黒潮の流路が直進路をとっているか, 蛇行路をとっているかをモニターするのに串本・浦神の検潮所間の水位差が用いられるが, この水位差は潮岬から大島の沖, 東西 7 km の部分で生じていることが示された。また, この水位差の殆どは, 僅か 100 ~ 150 m のごく表層の海洋構造によって作り出されたものであることが示された。串本・浦神の水位差には, 黒潮本来の構造が直接関与しているのではなく, 振り分け潮にともなう黒潮系水の潮岬西の沿岸域への侵入の有無, あるいはそれに伴って生じる潮岬東西の沿岸水の性質の違いを通してもたらされている。この微細海況観測成功には, 著しく向上した新しい二代目の勢水丸の能力が不可欠なものであった。
著者
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中村 亨
三重大学大学院生物資源学研究科附属練習船勢水丸
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前川 陽一
三重大学大学院生物資源学研究科附属練習船勢水丸
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前川 陽一
国立大学法人三重大学大学院生物資源学研究科附属練習船勢水丸
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仲里 慧子
国立大学法人三重大学大学院生物資源学研究科附属練習船勢水丸
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