奄美大島に生息するアマミキムラグモ(クモ目, ハラフシグモ亜目)の分類学的検討
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概要
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キムラグモ科 (Heptathelidae) の属するハラフシグモ亜目 (Mesothelae) のクモ類は, クモ目 (Araneae) のうちでも原始的な特徴を保持するきわめて特異な動物群で, 現生種の分布は東南アジアに局限されている。わが国においては, 九州中部から琉球列島にかけて分布する, キムラグモ[Heptathela kimurai (KISHIDA, 1920)(4亜種を含む)] およびオキナワキムラグモ [H.nishihirai HAUPT, 1979(2亜種を含む)] の2種がこれまでに知られてきたが, 分布域が遠隔地の島じまを多く含むのに加えて, これらのクモが地中に生息するため見つけにくいことや, 雄の成体が秋期にしか出現しないことなどの理由で材料が得がたく, その研究はたいへん遅れている。今回の調査対象地域である奄美およびトカラ諸島の本類の資料もひじように乏しく, 奄美大島産のものが, キムラグモの亜種アマミキムラグモ (H.k.amamiensis HAUPT, 1983) として記載されているにすぎない。しかも, このクモの原記載は, 1頭の雌の標本にもとづいて行なわれたわずか数行のきわめて不完全な内容のものであった。今回, 新たに得られた両性の標本を, 分類学的に詳細に検討した結果, アマミキムラグモは, その雄触肢の比較から, HAUPT が考えたように九州産のキムラグモの亜種とすべきものではなく, 独立種として扱うべきものであることを確認した。また, とくに栓子や指示器などの形状から, 本種は, 九州のキムラグモ(2亜種)や沖縄本島産のヤンバルキムラグモ (H.kimurai yanbaruensis HAUPT, 1983) より, 中国の浙江省から湖南省にかけて分布する H.hangzhouensis CHEN et al., 1981 に類似することを示唆した。以上の議論を踏まえて, アマミキムラグモを再記載し, 外部形態および両性の生殖器の細部を図示した。
- 国立科学博物館の論文
著者
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小野 展嗣
科学博物館
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小野 展嗣
国立科学博物館動物研究部
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小野 展嗣
Department Of Zoology National Museum Of Nature And Science
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西川 喜朗
追手門学院大学生物学研究室
-
西川 喜朗
追手門学院大学
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小野 展嗣/西川
国立科学博物館動物研究部/追手門学院大学生物学研究室
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