晩発性皮膚ポルフィリン症(porphyria cutanea tarda)患者の尿中,糞便中ポルフィリン体分析
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概要
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Porphyria cutanea tarda患者26名99検体の糞便中ポルフィリン体を溶媒抽出法にて測定し,尿中ポルフィリン体,血中ポルフィリン体値と共に,対照群と比較検討をおこなった.糞便中uroporphyrin(UP),coproporphyrin(CP),protoporphyrin(PP)値はともに対照群に比べて増加していたが,UP,CPの値がPPに比べて著しく増加していた.糞便中UP/PP,CP/PP比は対照群が0.012,0.602とPP優勢像を示しているのに比べて,PCT群では0.194,2.649とUP,CPが対照群に比べて多量に排泄され,ことにCPはPPより優勢に排泄されていた.以上の結果から,糞便中ポルフィリン体排泄像も基本的には尿中排泄像と同様の変化と思われるが,CP排泄の増加はuroporphyrinogen decarboxylase活性低下のみでは説明出来ず,他の酵素系の異常の合併も推定せざるを得ない.糞便中ポルフィリン体の測定およびUP/PP比,CP/PP比の観察はPCTの生化学的診断の助けとなると思われ,ことにCP/PP比の逆転像は,PCT患者に比較的特異な所見であると考えられる.
著者
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吉田 彦太郎
長崎大学医学部皮膚科
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大神 太郎
長崎大学医学部皮膚科学教室
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長戸 紀
長崎大学医学部皮膚科
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野中 薫雄
長崎大学医学部皮膚科
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村山 史男
国立長崎中央病院皮膚科
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入船 弘子
国立長崎中央病院皮膚科
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渡辺 雅久
長崎大学医学部皮膚科学教室
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渡辺 雅久
長崎大学医学部皮膚科
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山下 和徳
佐世保市立佐世保総合病院皮膚科
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