人皮膚グロームスのアドレナリン作動神経支配について
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概要
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人皮膚グロ-ムスの自律神経支配の一端を蛍光法 (Falck & Hillarp) をもって検索したところ, Suquet-Hover 管には極めて特有なアドレナリン(モノアミン)作動神経支配がみられることを知った.すなわち,アドレナリン作動神経はあたかも糸巻きに巻いた糸のように Suquet-Hoyer 管を囲縮して鞘のように翻密に分布している.また,これら神経は正常皮膚の動脈にみられると同様に,中膜筋層に相当するグロームス細胞層内に貫入せず,外膜に位置して varicose axon ramifications の状態を示す.周知の如く,人の指趾,掌蹠,耳,眼険,頚部,前額部,口唇部などの皮膚にはグロームスと呼ばれる特殊な動静脈吻合が存在し,末梢血流循環調節や体温調節を司っている.グロームス装置のうち,特徴的な構築を示すのは Suquet-Hoyer canal とも呼称されている吻合血管動脈部である1)2) すなわち,管腔は狭く,内弾性板を欠き,中層は今日,電顕的芦に平滑筋細胞由来とされている,4~6層のグロームス細胞とからなり,さらに,その周囲には豊富な神経支配が認められる. このようにグロ-ムスの基本的構造は吻合血管と神経装置とからなるといえる. Suquet-Hoyer 管の支配神経に関し,神経染色3)や電顕的観察2)によって無髄神経の存在が指摘され,また特異的コリンエステラーゼ染色4)の結果からコリン作動神経に属することも確認されている.人皮膚グロームスにおけるアドレナリン(モノアミン)作動神経支配の存在も予想されるとはいえ,これに関する研究はいまだ乏しいように思われる.そこで,蛍光法 (Falck & Hillarp) を用いて人皮膚グロームスのアドレナリン作動神経支配の様相を検索することにした.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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