悪性黒色腫におけるICAM-1(intercellular adhesion molecule-1)の発現―IFN-β投与後のin vivo, in vitroにおける変化―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
悪性黒色腫におけるICAM-1(Intercellular adhesion molecule-1)の発現に対するヒト線維芽細胞由来IFN-β(HuIFN-β)の影響をin vivo,in vitroで検討した.黒色腫患者の原発巣,転移巣のICAM-1を凍結切片を用い,ABC法(Avidin-Biotin peroxidase complex method)にて染色した.原発巣ではICAM-1の発現は同一腫瘍内でも均一でなく,強い部位と弱い部位が混在した.転移巣やNodular melanoma (NM)ではICAM-1発現率は他の病型の原発巣に比べ高い傾向が見られた.これらの傾向はIFN-β投与の有無に関わらず認められ,IFN-β投与のICAM-1発現に与える影響は明らかでなかった.更に4種の培養黒色腫細胞(SK-MEL30,SK-MELL118,G361,colo38)を用い,IFN-β,γ処理後のICAM-1発現の増減をFACSを用い検討した.培養黒色腫細胞ではIFN-β刺激によるICAM-1発現の程度はcell lineにより差が認められた.即ちSK-MEL118では約20%,SK-MEL30で約80%のICAM-1発現増強が認められたが,colo38,G361ではほとんど発現に変化はなかった.in vivo,in vitro における結果から,腫瘍組織中にはIFN-βに反応してICAM-1の発現が増強させる細胞と,ほとんど増強されない細胞が混在し,このため,腫瘍全体としてはICAM-1発現に明らかな変化が認められない場合もある可能性が示唆された.黒色腫患者の治療にIFN-βが使用されており,IFN-βによるICAM-1の誘導,さらに黒色腫の予後との相関に関しては今後もさらに検討すべきと思われる.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
-
堀越 貴志
札幌医科大学
-
今井 浩三
札幌医科大学
-
辻崎 正幸
札幌医科大学医学部第一内科
-
影下 登志郎
熊本大学医学薬学研究部皮膚機能病態学・形成外科学
-
高橋 誠
札幌医科大学皮膚科
-
江口 弘晃
札幌医科大学医学部皮膚科学教室
-
江口 弘晃
札幌医科大学皮膚科学教室
関連論文
- 薬剤性溶血性貧血および無顆粒球症を同時期に発症した1例
- ミクリッツ病と全身性IgG4関連疾患 : 当科における systemic IgG4-related plasmacytic syndrome (SIPS) 40例の臨床的検討から
- 血漿のプロテオミクス解析
- 非特異的交差反応性抗原(NCA) (広範囲 血液・尿化学検査 免疫学的検査(第7版・4)その数値をどう読むか) -- (腫瘍マーカー)
- MS25-#1 当科で経験したsystemic IgG4-related plasmacytic syndrome(SIPS)55例の臨床的特徴の解析(膠原病と類似疾患2-肺病変を中心に-,第59回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- 脈絡膜に転移した皮膚悪性黒色腫の1例
- 画像的に進展を捉えた肝エキノコックス症の1例
- 経回腸静脈静脈瘤塞栓術にて止血しえた肝管空腸吻合部静脈瘤出血の1例
- c-DNAアレイを用いた食道扁平上皮癌のリンパ節転移に関わる遺伝子変化の検討(第56回日本食道疾患研究会)
- モノクローナル抗体の橋渡し研究と夢 : 第2回日本DDS学会水島賞受賞によせて