冷え症に対する下肢への低周波鍼通電療法の効果 —下肢血管運動神経障害の有無による比較検討—
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概要
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目的:若年女性の冷え症に対し、体位変換負荷試験で血管運動神経障害の有無を判定し、低周波鍼通電療法(EAT)の効果を比較検討した。方法:対象は冷え症の自覚がある女性 43名(平均年齢 21.2歳)とした。負荷試験は、仰臥安静 10分後に起立負荷5分間とし、負荷前後に下肢皮膚温を測定した。鍼治療は、左右三陰交(SP6)に長さ 40 mm・直径 0.2 mmのステンレス鍼を約 15 mm 刺入して鍼電極とし、下腿前面に不関電極を貼付し、周波数 1Hz で 20分間とした。週 1回、計 5回の鍼治療後に再度負荷試験を行った。熱画像は、サーモグラフにて左右下腿から足趾内側全体を撮影し、足趾、下腿内側に領域を設定して平均皮膚温を算出した。評価には、冷え症に関する問診票、冷えを含む 14症状の 6件法と冷えの程度を横型 100 mm の Visual Analogue Scale(VAS)で回答する独自の評価票(冷え日記)および健康関連 QOL としてSF-8 スタンダード版を用いた。結果:対象者を起立負荷により足趾皮膚温が低下する群(血管反応正常群:23名)と、皮膚温が上昇もしくは左右で異なるものを合わせた群(血管反応異常群:20名)に分類した。血管反応異常群は血管反応正常群に比べて、自覚的な冷えの程度が大きい傾向で、14症状の合計得点が有意に高かった(愁訴の程度が強かった)。SF-8 の BP 得点は血管反応異常群で国民標準値よりも有意に低かった。治療後、負荷終了 20分後の下腿内側部皮膚温は血管反応異常群で順応時に比べて有意に上昇した。また、両群で、VAS 値および SF-8 の得点に有意な変化はみられなかったが、14症状の合計得点は血管反応異常群で有意に減少した。結語:体位変換試験で分類した自覚的な冷え症者について、血管運動障害を伴う者は三陰交への EAT によって下肢血管反応を正常化にシフトさせることで全身症状の改善が見られたが、血管運動障害を伴わない者では、病態および治療法の再検討の必要性が示唆された。
- The Japanese Society of Balneology, Climatology and Physical Medicineの論文
著者
-
森 英俊
筑波技術大学
-
久下 浩史
大阪医科大学付属病院 麻酔科
-
坂口 俊二
関西医療大学
-
佐々木 和郎
鈴鹿医療科学大学 鍼灸学部 鍼灸学科
-
竹田 太郎
明治国際医療大学 臨床鍼灸学教室
-
宮嵜 潤二
宝塚医療大学 保健医療学部 保健医療学科 鍼灸学専攻
-
小島 賢久
森ノ宮医療大学 保健医療学部 鍼灸学科
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