フェノール・ヘキサメチレンテトラミン樹脂の分子量と分子形状
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概要
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フェノール (P) とヘキサメチレンテトラミン (H) との樹脂化反応を行い, 溶液粘度, 拡散係数, 窒素含有率などの測定結果から生成樹脂の分子量や溶液中における分子のコンホメーションについて検討した。さらにこれらの結果にGPCクロマトグラムを考慮して, 反応機構に関する若干の知見を得た。<BR>種々の仕込みモル比 (H/P) で樹脂化反応を行ったところ, フェノールの割合が少ないほど窒素含有率の高い高分子量の樹脂が得られることを知った。また分別試料についての測定結果から, 窒素含有率は仕込みモル比によって決まり, 分子量に依らないことが明らかとなった。一方比容積φと拡散係数<I>D<SUB>A</SUB></I>とから溶液中での樹脂分子の緻密さを表わすパラメータφ√<I>D<SUB>A</SUB></I>の値を求めたところ, H/P=1/12の場合約2.8となり, ランダムノボラックに近い拡がりを示したが, H/P=1/4では約2.0となり, 前者に比べてかなり緻密な構造であることがわかった。さらにMark-Houwink-Sakuradaの粘度式 [η] =<I>KM<SUP>α</SUP></I>の指数αの値は, H/P=1/12の場合0.2であるのに対してH/P=1/4の場合0.15となり, より分岐度が高く緻密な球状分子であることを示している。<BR>これらの結果から次の反応機構を推定した。すなわちいずれの仕込みモル比でも反応初期にアミン中間体を生成するが, フェノールの仕込み割合が多い場合はこれにフェノールが酸として攻撃して窒素含有率の低いノボラック型樹脂となり, 一方フェノールの仕込み割合が少ない場合はアミン化合物同士が反応して第3アミン構造を形成し, 分岐度の高い緻密な球状分子を生じる。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文
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